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ペン型ノーズのルノーR.S.20は一発の速さが光る。レースでのパフォーマンス発揮がカギ/全チーム戦力分析(5)

2020年3月5日

 スペインのバルセロナ-カタロニア・サーキットで行われた2回のテストを終えて、各チームの新型マシンに様々な特徴が見えてきた。今回は2020年F1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。連載第5回はルノーF1チームだ。


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■ルノーのチーム戦力:100点満点中81点
■テストでの最速タイム:1分16秒276 3番手/全10チーム中(カルロス・サインツJr./C5タイヤ/テスト第2回目・最終日午前)
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 ルノーは2020年の新車発表会で新車『R.S.20』を披露せず、プレシーズンテスト前にカタロニア・サーキットで、シェイクダウンを行った。その理由は、シェイクダウン直前までマシンの開発を行い、シェイクダウンを行うカタロニア・サーキットに直にマシンを搬送したかったからだという。


 カタロニア・サーキットに現れたR.S.20は、昨年までマシンとは大きく異なったデザインとなっていた。その中で最も特徴的なのが、細くなったノーズだ。メルセデスが先鞭をつけ、今年多くのチームが採用しているこの細いノーズは、ほかのチームとは少し異なる特徴的な形状をしていた。


 ほかの多くのチームが採用しているノーズは、先端が円形状をしていたり、レギュレーションをクリアするための親指型となっているのに対して、ルノーのノーズは先端へ行くにしたがって細くなっていく、いわゆるペン型ノーズを採用。ステーまで部分でのノーズ先端の細さでは10チーム中、最も細くなっている。

全チーム戦力分析:ルノー編
先端へ向かうにつれて細くなっていく『ペン型ノーズ』を採用


 細くなったノーズの後方の処理も新しくなった。昨年までなかったブーメランフィンがバージボード上に追加され、ポッドフィンは外型と内側の2枚が重なり合う二重構造となっている。

全チーム戦力分析:ルノー編
写真上:ブーメランフィンがバージボード上に追加(赤矢印)

全チーム戦力分析:ルノー編
写真下:外型と内側の2枚が重なり合う二重構造のポッドフィン(赤矢印)


 こうしたエアロダイナミクスの変更により、ダウンフォースが増加されたのか、R.S.20は1回目のテストからいきなりスピードを披露していった。1回目のテストの最終日である2月21日には、今年からルノーに加入したエステバン・オコンがC4タイヤで1分17秒102をマーク。メルセデスの2台に次ぐ3番手につけた。


 2回目のテストでは、さらにスピードアップ。最終日にはダニエル・リカルドがC5タイヤを履いて、トップのメルセデス(バルテリ・ボッタス)から0.08秒遅れの3番手のタイムをマーク。良い形でプレシーズンテストを締めくくった。


 一発の速さでは光るものを見せたルノー。今後の課題はその速さをレースでも維持できるかだろう。というのも、空力を今年大きく変更してきたルノーにとっては、その空力に合わせたセッティングを行わなければならず、それはプレシーズンテストだけでは確認しきれていないからだ。テスト地のカタロニア・サーキットのデータはどのチームも豊富にあるため、新しい空力にもある程度は対応できたが、ほかのグランプリも同じようにいくとは限らない。


 しかも、テストでの総走行距離が10チーム中7番目と短かったことも、データ収集という観点からは少し心配だ。


 たとえ、レースペースが悪くなかったとしても、そこには別の懸念材料が存在する。それはドライバーのマネージメントだ。今年、フランスチームであるルノーに、フランス人ドライバーであるオコンが加入したからだ。


 フォースインディア時代のオコンはチームメートとやり合うことが少なくなった。一方、リカルドも以前在籍していたレッドブルを離脱した要因のひとつに、レッドブルがチームメートを優先したことが挙げられる。ルノーはフランスチームであるが、チームのファクトリーがあるのはイギリス。シリル・アビテブール(マネージングディレクター)の手腕が問わる一年となりそうだ。



(Masahiro Owari)


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