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F1 Topic:『DAS』のメリットを考察。レーキ角の小さいメルセデスW11の弱点を補えるか

2020年2月25日

 メルセデスがバルセロナテストの2日目に導入したステアリングシステム『DAS(デュアル・アクシス・ステアリング/2軸ステアリング)』は、ドライバーがステアリングを前後に押し引きすることで、フロントタイヤのトー角が変わる。だが、その効果については、詳細は明らかになっておらず、パドックでは2日目以降、連日そのメリットについて論じられていた。


 元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは「DASは空力面とタイヤ温度の面でメリットを生み出すものではないか」と分析する。


 まず空力面だ。DASはストレート上でステアリングを引くことで、トー角がトー・アウト(先端が外に向いている状態)からトー・ゼロ(トー角が0度。つまり進行方向とタイヤの方向が平行)に変わる。マシンを上から見たとき、前方に向かって外側に開いていたフロントタイヤが少しだけ閉じ、進行方向とタイヤの方向が平行になる。つまり、空気抵抗が減る。


 メルセデスはレーキ角が小さいマシンコンセプトを採っているため、ダウンフォースを得るには前後のウイングを立て気味にしなければならず、ストレートでの空気抵抗が大きいという弱点を持っている。それを少しでも軽減させようという狙いがあるのかもしれないとハーバートは指摘する。


 次にタイヤ温度の面でメリットについてだ。メルセデスに限らず、現在のF1マシンのフロントタイヤはトー・アウトが基本だ。その理由は、フロントをトー・アウトにすると、ステアリングを切ったときに内輪の方が多く切れる特性から、ステアリングを切った際の最初の反応が鋭くなるからだ。


 もうひとつ、ハーバートはトー・アウトにしている理由を挙げた。それは、フロントタイヤへの熱入れだ。角度を増やすことで抵抗となってタイヤの表面温度が上がるというわけだ。


「DASを使用できるようになったおかげで、メルセデスはトー角をこれまでよりアグレッシブにつけてくる可能性がある。そして、DASはレースで主に使用し、タイヤに早く熱を入れたい予選ではDASをあえて使用しないということも考えられる」(ハーバート)


 さらにバーハートは、その推測が間違っていなければ、レースでこんな使い方も考えられるという。それはセーフティーカー導入時だ。


「セーフティーカーが導入されるとタイヤが冷える。それを避けるために、セーフティーカーラン中はDASは使用しないという使い方だ」


 つまり、DASはレーキ角が小さいメルセデスにとってメリットがあるシステムという点でも、ライバルチームにとってはやっかいなシステムなのである。



(autosport web)


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