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ホンダ山本MD 2019年F1総括(1):「レッドブルは我々ホンダのスタッフを興奮させてくれるチーム」

2019年12月25日

 ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターが、レッドブルと初のタッグを組み3勝を挙げた2019年シーズンを振り返った。


──2019年から山本さんはモータースポーツ部長からマネージングディレクターとして、ホンダのF1活動を指揮しました。2018年との違いを教えてください。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):
まずF1に集中できるということです。2018年は(モータースポーツ部長として)いろんなカテゴリーのレースを見なければならなかったので、F1に全戦来ることができませんでした。出席できたのは、だいたい13戦か14戦。6割ぐらいでした。


 それが、今年は初めて皆勤賞で(F1に全戦)出勤しました。2019年はトロロッソだけでなく、レッドブルにもホンダはパワーユニット(PU/エンジン)を供給し、2チーム4台体制となり、現場で私がやるべき仕事が増えました。


 今回(2019年の最終戦となったアブダビGP)も、木曜日にフランツ(・トスト/トロロッソ代表)とミーティングを行いました。田辺(豊治F1テクニカルディレクター)が行っているテクニカルな部分以外のチームからのリクエストは私が聞いて、田辺へうまく橋渡しができたと思います。


 レッドブルに関しては、クリスチャン(・ホーナー代表)が現場監督的な役割を担っているので、田辺とミーティングすることが多く、私はレッドブルとトロロッソを統括しているモータースポーツアドバイザーの(ヘルムート・)マルコさんと話し合う機会が多かったですね。


──F1では、さまざまなミーティングが日常的に行われていますよね。
山本MD:
そうですね。ホンダがパワーユニットを供給しているチーム以外の人たち、たとえばFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)の方たちともミーティングしました。チェイス・キャリー(F1会長兼CEO)から『シーズン開幕前にイギリス・ロンドンでコンストラクターズ会議があるから、ホンダも是非参加してほしい』というメールをいただき、ホンダの代表として私は初めてコンストラクターズ会議にも参加しました。


 そこでFOM(F1)が将来に関して、どのようなビジョンを持っているのかを確認できただけでなく、ほかのチーム代表がそれについて、どのような考えを持っているかを知ることもできました。FOMとの関係においても良い効果が出ていたと思いますし、そういった意味で、今年私がF1に全戦参加したことは、ホンダにとってあらたな一歩に繋がったと思います。


──今年はホンダにとってレッドブルへもパワーユニット供給を開始しました。パートナーとして1年間戦ってみて、レッドブルがどのようなチームだったと感じましたか。
山本MD:
レッドブルというチームに関しては外からですが、2018年までも見ていたし、2019年からパートナーを開始する契約を締結した後はミーティングを行い、ファクトリーにも行っていたので、2019年の1年間戦ってというよりも、その前にどんなチームであるかはわかっていました。


 そして、実際に一緒に仕事を始めてみて、予想していた通りのトップチームでしたし、仕事を進めていく中で、『このチームとだったら、さらにすごいことができるんじゃないか』と、我々ホンダのスタッフたちを興奮させてくれるチームでした。


 レッドブルやトロロッソと仕事してみて感じることですが、両チームともテクニカルな面でもマネージメントの面でも非常にシンプル。勝つことへのこだわりに関してはホンダと同じで、ピュアに勝つための戦いに行けるという意味ではとても組みやすいチームです。


──レッドブルと組んだ2019年の活躍を山本さんはマネージングディレクターとして、どのように評価していますか。
山本MD:
2018年にレッドブルはルノーのパワーユニットを搭載して4勝していたので、ホンダというメーカーとして、個人的にはその数字を上回りたかった。とはいえ、昨年の4勝はマックスとリカルドが2勝ずつで、今年はマックスだけで3勝しました。


 また、個人的にはポールポジションを取りたいと思っていましたので、2回プラス1回(ポールポジションを獲得しながら、黄旗無視で降格したメキシコGPの分)という成績は良かった。


 レースというのは、さまざまな状況によって変わりますが、予選はクルマの純粋な速さを示すことができるので、研究所で仕事しているスタッフにとってはとても勇気づけられる結果となったと思います。こうした2019年シーズンの成績は、ホンダを強くしてくれる大きなきっかけを作ってくれたと思います。


 その背景には、HRD Sakura(栃木県さくら市にあるホンダの技術開発研究所)で指揮を執っている浅木(泰昭/HRD Sakuraセンター長/パワーユニット開発責任者)が、日本でいいジャッジをしてくれたと思うし、その浅木たちが開発したパワーユニットをサーキットで走らせた現場のスタッフを、田辺がしっかりとまとめていたことも忘れてはならない。


 田辺はホンダで最もレースを知っているひとりで、目の前で起きている状況を即、解析し判断できる能力の持ち主。それに対する信頼は揺るぎない。またHRD Sakuraだけでなく、ホンダF1の開発に協力してくれたさまざまな研究所の皆さんの努力があったことも忘れてはなりません。おかげさまで良いシーズンを送ることができたと思っています。


ホンダ山本MD 2019年F1総括(2)に続く



(Masahiro Owari)


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