フランスGPの舞台となるマニ-クールサーキットは、前半は回りこむような高速コーナーとヘアピンが、中盤から後半にかけては中低速コーナーがレイアウトされたテクニカルサーキットだ。昨年の第11戦フランスGPでは、フェラーリのミハエル･シューマッハーが早々とチャンピオンについたが、今シーズンはまだまだ混戦模様が続く。
ドライバーズポイントでミハエルに首位の座を奪われたものの、ランキング2位につけるキミ･ライコネンにとってフランスGPは、苦い思い出のグランプリ。昨年残り5周までトップを快走するも、ヘアピンでオイルに乗りオーバーラン、ミハエルのチャンピオン獲得を演出してしまった。あの時ほぼ手中に収めていた勝利を、今年マニ-クールで取り返すことができるだろうか？ マクラーレンは従来通り、信頼性を重視のMP4/17Dでレースに臨む。
舞台となるマニ-クールは完走率も高く、チームの競争力がそのままリザルトに反映されるレースが多く見られる。91年の初開催から5回1-2フィニッシュが達成されていることを見ても番狂わせが少ないことが分かる。そういった意味で順当にいけば、フェラーリがマニ-クールを席巻する可能性は高い。ミハエルはここで6勝を挙げ勝率は5割を超える。ただ6度の勝利のうちポールからの勝利は1度だけというのも興味深い。
ミハエルの勝ちパターンとしてはピットストップでの逆転勝利が多いが、マニ-クールのピットストップは2回もしくは3回と予想される。優勝争いは、ブリヂストン＋フェラーリを、地元レースで力の入るミシュランユーザーのマクラーレン、ウイリアムズ、ルノーが追う展開となるだろう。ミシュラン勢のなかでは、抜群のコーナーリングスピードを誇るルノーのR23がこのコースにマッチしているようだ。新車がクラッシュテストで不合格となってしまったマクラーレンは旧型車のままでは少し厳しいか？ 逆にウイリアムズはコース前半のストレートとヘアピンからの立ち上がりをエンジンパワーで押し切り、ライバルと差をつけたい。
ジョーダン、BAR、ザウバーら中堅チームにとっては上位陣の脱落がないかぎりポイント獲得は難しいサーキットだ。たとえカナダGPのライコネンのようにトップ4チームが予選を失敗したとしても、マニ-クールでは300kmからの減速するアデレードヘアピンでオーバーテイクが容易だからだ。
しかし、そんな中でも注目ドライバーを上げるなら、ジャガーのマーク･ウエーバーだ。軽いタンクでのマシンバランスが良いR4だけに、決勝では3ストップの短いスティントでレースを刻めばポイント獲得もありうる。ただ懸念されるのはマシンの信頼性か……。エンジンだけならウイリアムズに引けをとらないBARも、ジャガー同様に前半戦から多発するトラブルが心配される。
また、バンピーな路面を苦手とするトヨタのマシンには、スムーズなマニ-クールのトラックは合うかもしれない。オリビエ･パニスにとっては母国レースとなる。イギリスGPから改良型EJ13を投入予定のジョーダンには、この連戦は辛抱するレースとなるだろう。しかし、ジョーダンは99年にこのコースで勝利を飾っている。その時にステアリングを握っていたのは今、ザウバーに乗るハインツ-ハラルド･フレンツェンだ。
モースポ編集部予想：第１０戦フランスＧＰ
