昨シーズン、キャリア2度目の優勝をニュルブルクリンクで果たしたフェラーリのルーベンス・バリチェロが、今週末のヨーロッパGPを楽しみにしている。
「去年のレースはファーストラップでトップに出たことで全てが決まった。予選はそれほどよくなかったけれど、決勝の1週目は驚くべき走りができて、トップが奪えた」
「去年のレースは戦略面で面白いレースとなった。僕のマシンのタイヤにブリスターができて、(2位を走っていた)ミハエルとの距離が離れたときはタイヤの温存に努め、彼が接近してきたときは再びハードに攻めたんだ。ニュルブルクリンクにはいい気分で乗り込める。ドイツではいつもうまくいっているからね。それもあって、今年も明るい見通しを持っている」
1コーナー付近が改修されたために、昨年は、ドライバーたちもどのようなレースになるか予想もつかなかった。
「コースが改修されて、スピードはかなり抑えられることになったようだが、新しい1コーナーはミスを犯しやすい作りなので、難しさはそれほど変わらない。次のコーナーまでの距離が極端に短いS字カーブを含む従来の1コーナーがなくなって不満を抱いているドライバーもいるかもしれないが、僕は新しい1コーナーについて面白いと思っている。特に予選では、ここで大きなタイム差が生まれるはずさ」
レイアウトの変更に合わせ、マシンのセットアップも変わる。「ニュルブルクリンクは、昔から空力が重要な要素となってきたが、新しいレイアウトでは以前に増してメカニカルグリップを重要視する必要が出てきた。新しくなったセクションでは、高いトラクション性能が求められる。ブレーキも重要だ。場所によってはかなりバンピーなブレーキポイントがあるからね。エンジンのよさは当然のこと。高低差のあるトラックなので、坂道を上って行くパワーが必要だからね」
先週、テストを終えたバリチェロは、今週末のGPに向けてチームは絶好調だと自信満々でいる。「シルバーストンで、来月のイギリスGPをも睨みつつ、ニュルブルクリンク用のタイヤ作業を行った。3日間のテストは素晴らしい出来だった。忙しいスケジュールもすべてこなせた。シルバーストンでの自分の作業にはとても満足している。F2003−GAはできたばかりのマシンなので、これからポテンシャルがどんどん引き出されていくはずさ。今シーズンの後半戦が楽しみだよ」
シルバーストンでのテストを終えたバリチェロは、ニュルブルクリンクに旅立つ前に、ミハエル・シューマッハーらとサッカーの試合を楽しんだ。
「金曜日にレジオ・エミリアで、イラクの人々の救済基金を集めるチャリティーサッカーに参加した。ナショナル・カンタンティを相手に、フェラーリチームは勝利を収めた。とても楽しかったよ。ミハエルやフェリペ(マッサ)、ルカ(バドエル)も参加した。僕はいつものようにフォワードを務めたけれど、得点はできなかった。ミハエルとフェリペはサッカーがとてもうまいんだ。ルカ? 僕にはなんとも言えないよ。ルカはたまたま得点を決めたけれど、彼はサッカーが得意とは言えないね。フェラーリのためならいつも一生懸命頑張る男だとだけ言っておこう。それにしても、思い出に残る楽しいイベントだった。3万人もの観客が来てくれて、びっくりしたよ」
楽しいイベントを終えたフェラーリのドライバーの面々は、GPの週末を控え、ミハエルの自宅にあるゴーカートトラックで毎年恒例のカート競争を行うが、バリチェロは欠席の予定だ。
「僕はミハエルの家で開かれるゴーカート競争に出たことがない。今年こそ参加する予定だったんだけれど、ヘルメットのシューベルト社の人々と最後の打ち合わせがあるため、残念ながら今年も欠席だ。来年ならたぶん大丈夫だと思う」