ニュルブルクリンクは多くのドライバーにとってお気に入りとは言い難いサーキットである。しかし1速のヘアピンから中・高速コーナーまで幅広い種類のコーナーを揃えるコースであるため、エンジニアたちにとっては、絶好の挑戦の場といえる。
各チームは、ブレーキの安定性、中速コーナーでの高グリップ、低速部分でのトラクションのよさを備え、高速コーナーでも安定して走る車を求めることになる。さらに、コースの2〜3カ所では縁石を踏んで走る必要がある上、よりバンピーな路面部分、特にターン1からターン4の間などではグリップの維持にも努めなければならない。
ターン8や10、11などいくつかの難しいコーナーではドライバーが自信を持って攻められるようなセットアップが要求されるが、ターン13の進入が伝統的なオーバーテイクのポイントなため、ダウンフォースをつけすぎてもいけない。タイヤに関しては相当にやさしいサーキットで、いろいろな意味でタイヤ環境はモントリオールに似ているが、ニュルブルクリンクでは何カ所かで高速の横Gに遭遇するという点は違っている。
2002年イベントを前に施されたレイアウト変更により、メインストレート終わりにはツイスティなインフィールドセクション‘アリーナ’が加えられ、メルセデス、BMW、そしてシューマッハー兄弟に声援を送るドイツ人ファンらには絶好の観戦エリアとなった。そしてこれらの変更は、エンジン特性のセットアップに大きな違いをもたらしている。
先のカナダGPでの好走に気をよくするフェルナンド・アロンソは、ニュルブルクリンクでもペースメーカーであるフェラーリとウイリアムズの直後につけたいと願う。だが彼は昨年のこのレースを走っていないため、金曜のテストセッションではコースの習得からやり直さなければならない。
「最後に走ったのが2001年だから、僕がよく知っていたサーキットとは随分変わっている」と認めるアロンソ。「新セクションは僕には間違いなく最も難しい部分になる。なにしろ全く知らないんだからね。でも金曜の午前中に走れる利点がある。予選が始まるまでには的確にコースを把握して、きっと自信を持てるようになるよ」
一方のヤルノ・トゥルーリはカナダではリタイアに終わり、F1自己最高位を持つこのサーキットでツキが変わることを願う。1999年のウエット/ドライの混乱のレースにてジョニー・ハーバートに次ぐ2位につけたトゥルーリだが、このGPを前に特別な感情はないとトゥルーリは言う。
「他のサーキットと同じで、楽しむだけ、特別なことはないよ!」と明かすトゥルーリ。「ドライバーの視点でいうと特に技術がいるわけでもないイージーなサーキットで、一番大事なのはリズムをつかむことだ。昨年のコース改修は、良くないとは言わないが、オーバーテイクにはまだストレートが短すぎる。誰かを抜こうと思ったら、一番いいのはやっぱりバックストレートになるだろう」
「ドイツF3に出ていたことがあるのでサーキットはとてもよく知っている。詳細な知識はどこででも重要だ。地域に精通することも、天気がどうなるか分かり、それによって戦略を立てるのに役立つ。なんとか競争力を発揮して、シーズン後半戦を好リザルトでスタートしたいものだね」