マクラーレン・メルセデス・チームは、1シーズン半にわたって使い続けたMP4−17Dを少なくともあと2戦(ニュルブルクリンクとマニ−クール)は使うことになる。新型モデルの投入をさらに1カ月遅らせる判断を示したのだ。
当初チームは、キミ・ライコネンかデイビッド・クルサードに初の世界タイトルをもたらすものと期待されているニューマシンを、今週末のヨーロッパGPで投入することを示唆していた。しかしながら、彼らはいまだMP4−18の信頼性に100%の自信を持っていないため、当面は旧型車で着実にポイントを獲得し、新型の登場まで選手権争いに踏みとどまり続けることを目指すという。
「まだ必要なレベルの信頼性を獲得するに至るまで開発されていない車を急いで実戦に投入し、結果的に選手権争いの戦いを危険にさらすことは避けなければならない」と、チームのスポークスマンはロイター通信に対して語った。「特にニュルブルクリンクとマニ−クールは2週連続の開催になるためロジスティック的にも厳しく、この2戦のいずれかで新車を投入するのは難しい。したがって、私たちはこの新車が間違いなく選手権争いを後押しすると確信できるようになった時点で、初めて新しい車を使うことになるだろう」
「私たちの目標は2003年の世界選手権を獲得することであり、現時点でかなりの好位置につけていると考えている。それは開発の進んだMP4−17Dでシーズン前半戦を戦うという戦略がもたらした結果であって、それが私たちの目標達成の基盤になっている」
過去1カ月の間、新型車はカナダGPをはさむ2回のテストに姿を見せ、2人のレギュラードライバーとアレックス・ブルツがドライブした。だが、このマシンはいまだ十分な信頼性を確立しておらず、しかも2度のクラッシュによってその開発プロセスは滞っている。このため、チームは昨年のブラジルでフェラーリが選択したように、新車を1台だけデビューさせ、MP4−18のパフォーマンスが確実になるまでライコネンには旧型をドライブさせる可能性にも言及していた。
マクラーレンは現在フェラーリと9ポイント差でコンストラクターズ選手権の2番手につけている。また、ライコネンはこれまでドライバーズ選手権をリードしてきたものの、前戦カナダで優勝したミハエル・シューマッハーにランキングトップの座を奪われた。しかしシューマッハーとライコネンとの差は、まだわずか3ポイントでしかない。