カナダGPが行われるジル・ビルヌーブサーキットは公園内の公道を利用したサーキット。レースウイーク始まりのころはコースが汚れているため、予選ではなるべく後からのタイムアタックが上位グリッド獲得のカギになるだろう。ということは金曜の予選1回目で良いポジションをキープすることも重要になる。
コースレイアウトは2本のストレートをヘアピンでつなぎ併せた典型的な“ストップ&ゴー”サーキットのため、エンジン全開率が高くブレーキにはかなりの負担がかかる。このようなサーキットを得意としているのが、エンジンパワーに定評のあるウイリアムズ。モナコでは予選でラルフ・シューマッハーがポールを奪い、決勝ではファン-パブロ・モントーヤがウイリアムズに20年振りの勝利をもたらしチームの志気も高い。復調ウイリアムズが、モナコと対象的な低ダウンフォースサーキットで、フェラーリやマクラーレンを相手にどんなパフォーマンスをみせるのかが注目だ。
新エンジン投入が予定されるBARのマシンもこのコースにあっているのかもしれない。BARのジェンソン・バトンはモナコのクラッシュが心配されたがカナダGPへの出場が発表されている。一方バトンのチームメイト、ジャック・ビルヌーブにとってカナダは母国GPとなる。ただ、ビルヌーブは過去7回の出走中で入賞はわずか1回と地元レースで相性が悪い。モチベーションの低下が伝えられるビルヌーブの地元奮起はあるのだろうか? 逆にエンジンパワーのなさをコーナーでカバーするルノーには、苦しいレースになると予想される。
優勝争いの本命はやはりミハエル・シューマッハー。このサーキットでは6勝を挙げている。気になるのはこのところミシュランに押されているブリヂストンタイヤの仕上り具合。マクラーレンは新車の投入まで我慢のレースが続く。ただ今季のポイントシステムによって、優勝と2位に与えられるポイント差が2ポイントとなったこともあり、優勝は無理でも確実に入賞を重ねることも重要だ。キミ・ライコネンは今季4戦で2位入賞を果し現在ポイントリーダーを走る。
カナダGPでめっぽう強いのがジャンカルロ・フィジケラだ。96年の参戦から5回の入賞(2位2回、3位2回、5位1回)を果たしている。
また、カナダGPは非常に荒れることの多いグランプリだけに、意外なドライバーがポディウムに上ることも考えられる。終盤ウエットとなった2000年のようなサバイバルゲームになれば、ヨス・フェルスタッペン、ハインツ-ハラルド・フレンツェン、オリビエ・パニスらベテラン勢も面白い存在かもしれない。モナコ初日で初走行ゆえ苦戦したダ・マッタは、昨年CARTでこのコースを経験済みだ。