F速

  • 会員登録
  • ログイン

【津川哲夫の私的F1メカチェック】ホイール内側に見える、最強メルセデスW10の細かなクーリングの痕跡

2019年7月24日

 今シーズンのメルセデスの連続優勝記録はオーストリアGPのレッドブル・ホンダの優勝に阻止されてしまったが、続くイギリスGPをルイス・ハミルトンが征して『メルセデいまだ衰えず!』を強力にアピールしてメルセデスW10の万能性を証明してみせた。もちろん、現実には万能なマシンなどはあり得ず、オーストリアGPでの高温・高地ではオーバーヒートのウイークポイントが垣間みられたことは忘れてはならない。


 しかし、そのウイークポイントを踏まえても、メルセデスの徹底した完璧主義はあらゆる弱みを急速、かつ繊細に改修して見せる。実際にはメルセデスW10は性能的には完成域に達しつつあり、それ以上の大幅なレベルアップは難しい。それでも、だからこそW10はわずかな性能向上の可能性が残る細部に至まで、繊細な開発を続けているのだ。


 昨年、メルセデスのマシンはブレーキのオーバーヒートに悩まされた。その問題は今シーズン、改善はしたものの、実は根本的な課題はいまだに残っていた。


 昨年まで、メルセデスのマシンはスルーアクスルでアクスルを空洞化してここを抜ける空気流を使ってベアリング周りの冷却をしていたが、今シーズンはこれが禁止となった。同様に、昨年にテストした隙間スペーサーも今シーズンの規則で禁止されてしまった。


 規則の改定は全車に当てはまるが、メルセデスは特にブレーキ、アクスルベアリング、ホイール等のクーリングが今年、難しくなっているのだ。そこで写真のメルセデスのリヤホイール内側を見てほしい。


 この部分を解説すると、センター部分のリングには長いドライブペグと短いロケーターペグが計8本埋められていて、これがアクスル側のフランジに空けられた穴に入り込み、回転トルクをホイールに伝えることになる。興味深いのはこのペグを囲むリングの表面に無数の小さな穴が空いていること。そして、その背面のホイール内側の接点には中心に向かって細かな溝が無数に刻まれているのがわかる。


 つまり、このリングはスペーサーであり、アクスルフランジに搭載されているディスクベルからの熱をこのスペーサーが受け、無数の穴を利用してホイール側の溝とスペーサー面にできる空間を通して排出する、言わば空冷フィンの役割をしている。


 さらにホイールスポークの中心側の根っこの部分はY字型に造られ、空間をつくっているが、これも冷却効率のためだろう。さらにリム面には細かくぶつぶつ(ドット)が刻まれていて、ホイールの表面積を増やして放熱効率を上げている。チャンピオンカーの実に繊細な努力が垣間見れる。



(Tetsuo Tsugawa)


レース

5/30(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
5/31(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
6/1(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※スペインGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ186
2位ランド・ノリス176
3位マックス・フェルスタッペン137
4位ジョージ・ラッセル111
5位シャルル・ルクレール94
6位ルイス・ハミルトン71
7位アンドレア・キミ・アントネッリ48
8位アレクサンダー・アルボン42
9位アイザック・ハジャー21
10位エステバン・オコン20

チームランキング

※スペインGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム362
2位スクーデリア・フェラーリHP165
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム159
4位オラクル・レッドブル・レーシング144
5位ウイリアムズ・レーシング54
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム28
7位マネーグラム・ハースF1チーム26
8位ステークF1チーム・キック・ザウバー16
9位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム16
10位BWTアルピーヌF1チーム11

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第9戦スペインGP 6/1
第10戦カナダGP 6/15
第11戦オーストリアGP 6/29
第12戦イギリスGP 7/6
第13戦ベルギーGP 7/27
  • 最新刊
  • F速

    F速 2025年5月号 Vol.3 日本GP号