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【F1第3戦中国GPの焦点】フラストレーションの溜まるフェラーリの戦略。“スクーデリア最優先”のロジックを通すべき

2019年4月17日

 メルセデスが純粋な速さによって、中国GPを完璧に制覇した。際立ったのは、週末の流れのなかでも56周のレースにおいても、勝利に向かって常に論理的に着実に歩を進めていく、彼らの“お家芸”のような仕事ぶり──。土曜の予選でメルセデスがフロントロウを独占すると、私たちは大きな順位変動のないレースを予感する。

 対照的に、フェラーリではいつも何かが起こってしまう。

 バーレーンGPでは、パワーユニット・トラブルによってシャルル・ルクレールが初勝利を逃した。それでも、フェラーリがチャレンジャーであることを考えると、速さを探求した末に起こるトラブルはモータースポーツの宿命。だから、3位まで後退したルクレールのレースは切なさという共感を生むものでもあった。

 一方で、上海での敗北は心に訴える部分よりも“なぜ?” というフラストレーションばかりを感じさせるものだった。

 速いマシンならどんな作戦も成功率が高くなるし、速さが足りない場合には作戦でポジションを上げるのが至難の技だということも分かっている。ポジションを守れただけでも作戦成功ととらえるべきケースが実は大半であることも。

 だから、トップ2チームの一角を崩したレッドブルが「速さで勝るフェラーリを作戦で負かした」と胸を張るのだ。

XPB Images

 上海ではフリー走行から、メルセデスがフェラーリを上回っていた。コース特性やコンディションの変化に過敏なフェラーリがメルセデスに及ばなかったとしても、彼らが一貫性のある作戦を遂行し3-4位を維持できていれば失敗したという印象はこんなに強くなかったはずだ。

 ところがスタート直後から、フェラーリが披露したストラテジーは難解で、意図が読めないものだった。これまでも繰り返されてきたことだが、スクーデリアでは“チームとしての作戦”と、故意にドライバーの順位を操作するチームオーダーの境界線が定かではない。2台のうち、速い方のマシンが何らかの理由でチームメイトに抑えられるかたちになった場合には、最終スティント、ゴール目前でない限り速いマシンを前に出すのが通常のチーム作戦──。ドライバーズ・タイトルに挑むトップチームでは簡単ではないが、貴重な1ポイントを争う中堅チームでは議論の余地もなく遂行されていることだ。

 ミハエル・シューマッハーとともに黄金時代を築いたフェラーリでは、ナンバー1ドライバーに絶対的な権利を与えた。シーズン序盤から順位操作をして非難を浴びても、ポイントを集中させることがチームの利益になるという考えに基づいたやり方であったと思う。

 問題は、そうして圧倒的な時代を経験したことによって、スクーデリアが近代的な作戦を身につけてこなかった点だ。シューマッハー後の時代、ナンバー1、ナンバー2が明記された契約を結んでこなかったのは“ドライバーのスポーツ”の観点から歓迎すべきことだったが、チームとしての作戦が確立されていない状態ではしばしば、ふたりのドライバーへの指示が不器用で、獲れるポイントを失ってきた。“チームオーダー禁止”の時代には、ドライバーが批判にさらされもした。

 おそらくストラテジストだけの問題ではなく、今日のF1を戦うチームとしてのフィロソフィーの欠如が、今も続いている。



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