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【津川哲夫の2019私的新車チェック:マクラーレン】名門復活に向けて今年最大級のコンセプト変更。トレンドと伝統が融合した意欲作

2019年2月17日

 マクラーレン・ルノーの2019年の新車、MCL34は車体に大きな変化のあったマシンのひとつとして登場してきた。エアロを今季の新規則に準拠した形に変更したのは当然だが、そのエアロだけでなく、メカニカルな部分にも大きな変更を施したことがうかがえる。


 過去2年、マクラーレンは独自の路線を頑なに守り、メルセデスやフェラーリ、レッドブルが投入してきた最新のトレンドを積極的に追うことはしなかった。そして独自の路線にうずくまった結果、近年のマクラーレンはレースリザルトでも成功を見ることはなかったのだが、今回のMCL34は明らかに路線を変え、トレンディな処理が各所に見られる。


 エアロではサイドポッドが絞られ、レッドブル的エンジンカバーの処理が施された。アンダーカットも最小限に収められたが、この理由は熱交換システムの変更によるものだろう。これまでサイドポッド内部が主となり、インダクションボックスは業界最小だったが、MCL34ではルノー型の大開口部を持つ太いダクトに変更され、トレンディなセンタークーリングへと進歩した。


 また、ポッドのリーディングエッジにはこれまた最新トレンドでもあるスラット・ウイングを設定。バージボードエリアの低く独特なボックス型カナードの効果は定かではないが、個性的で面白い。


 さらにエアロだけではなくメカニカルでも新しい試みを見せて、フロントサスペンションアームのアップライト側ピボットにハイマウントブラケットが設置され、ジオメトリーとエアロへの貢献が狙われている。


 独特な豚鼻ノーズはこれまで同様に健在だが、ノーズ幅が極端に縮められメルセデス型が選ばれている。もちろん、イカヒレスクープも踏襲されて正面流の床下への取り込みに余念がない。


 さらにはバックエンドはドーサルフィンが独特で、現実的には後方エッジにカーナンバー用に切り残された部分だけしか存在しない。


 昨年までの路線を大きく変えて最新トレンドを取り入む一方、これまで培ってきた独自の路線も盛り込み、トレンドと伝統を融合させた形となった意欲作のMCL34。名門復活に向けて起死回生となるか、実際の効果は走ってみなければ評価がしづらいが、大きな挑戦となることは間違いない。

マクラーレンF1 2019年型マシン『MCL34』
マクラーレンF1 2019年型マシン『MCL34』



(Tetsuo Tsugawa)


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