F1に参戦中の5大自動車メーカーが計画している、F1のライバルシリーズが、設立に向けてさらなる一歩を踏み出した。10日、代表者たちが各チームのボスたちと会合を持ち、詳細にわたる最新の将来計画を提示したのだ。
GPWCは、現在F1に参戦中の全10チームのボスたちをミュンヘンでの会合に招き、2008年から開始予定の新シリーズに向けた提案を示した。FIAは必ずしも新参の選手権がF1の脅威になるとは考えていないが、透明性の高さと金銭面での見返りを約束している新シリーズが既存の参戦チームを誘惑するかどうか、レース界は慎重に見守っている。
ロイター通信によると、10日の会合でははっきりとした意志表示は要求されなかったものの、ライバルシリーズに成功のチャンスがあるかどうかが、今回ある程度はっきりするかもしれないということだ。現在のところ、GPWCのメンバーであるフェラーリとルノーはそれぞれF1チームを持っており、この2チームは新シリーズに乗り換える可能性も高いが、残りのチームはそれぞれ、メーカーと密接な関係をもつチーム、単なるカスタマーチーム、非GPWCメンバーが独自に運営しているチームとに分かれている。
「彼らはチームボスたちに、そろそろしっかりした参加の意志表示をしてもらわねばならない」と、ある情報筋はロイター通信に対して語った。「彼らは、提案に誰かが署名することまでは期待していないが、その気があるという兆候を見たがっているのだ」
討議されるべき案件リストの上位には、参戦チームへの金銭の分配の件がありそうだ。この件は、現在のF1で大きな問題となっている。F1では全収入の半分以下しか参戦チームに分配されていないことから、GPWCは“このスポーツの長期にわたる安定を確保するために、各チームに収入の大半を引き渡し、マニュファクチャラーにさらなる実権を与える”ことを売りにしている。
F1の10チームは、現行のコンコルド協定によって得ているよりも多くの収入を要求している。現在チームが得ている収入は、マクラーレンのロン・デニスの推計によると、全体の約23%だということだ。
「F1において、全員にとってより公平な状況を手に入れたいという願いが、確かに存在する」と、ロン・デニスはブラジルGPの週末に語った。「各チームに提示される文書は、完全かつ包括的な提案になるはずだし、全チームと法律面からの重要なインプットが盛り込まれている。この文書は時間をかけて改善されてきたところだ。どのチームも別の方向に進むことは望んでいないと思う」
この提案書に関して、ルノーの副社長であるパトリック・フォーレは、英ガーディアン紙に対して、“GPWCは、現在チームが受けている待遇より、さらに魅力的な代替案を提供するだろう”と述べた。
「事態は非常にはっきりしていると思う」とフォーレは語った。「まずF1の時代があり、今や別の時代が来ようとしているのだ。私たちは、バーニー・エクレストンが引き続きCEOとなることには異議はないが、F1によって得られる資金の大部分はチームに与えられるべきだ。他のことについてはすべて交渉が可能だが、この件に関しては妥協するつもりはない。このスポーツは、それ自体が生み出している収入によって、費用をまかなわれるべきなのだ」