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今宮純のF1合同テストインプレッション:新時代の“超速”F1は戦力差縮小の予感

2017年3月4日

 超速“スーパーF1フェス”。それが2017年シーズン最初のバルセロナテストのインプレッション。総合タイム最速のバルテリ・ボッタスは1分19秒705をマークし、16年スペインGPでルイス・ハミルトンが記録したポールポジションタイム、1分22秒000を2.295秒破った。


 トップのボッタスだけではない。フォースインディアのリザーブドライバー、21位のアルフォンソ・セリスのタイム1分23秒568も、16年スペインGP予選最下位のリオ・ハリアントが記録した1分25秒939を2.371秒上回っている。新車シェイクダウンの4日間、“スーパーF1”新時代幕開きを告げるものだった。

コーナリングスピードが飛躍的に向上した2017年のF1
コーナリングスピードが飛躍的に向上した2017年のF1


 メルセデスに加入してまだおよそ40日、ボッタスはまずロングランから始め、2日目に66周フルレースシミュレーションを実行。チームも彼もお互い早く慣れるための“特別プログラム”。途中スピンもあったがクラッシュを回避してみせ、きっちりこなした。


 最速タイム記録は3日目、ソフト側3スペックを順に試す慎重なアプローチ。1分19秒705のときはセクター3でアンダー症状があり(低温と風のせいだろう)、十分に19秒台前半は可能、次回テストではさらに18秒以下も予測できそう。


 一方、チーム在籍5年目のハミルトンには経験値があり、チームは彼にエアロ開発やセットアップ・パターンを担当させた。3日目には2スペックでつなぐ2ストップでフルレースをカバー、ボッタスよりもいいペースであった。ふたりの役割を分担、この日の午前はW08のポテンシャル・スピード、午後はレースモード信頼性を確認、メルセデスは今年もテストから盤石そのものだ。


 昨年最初のテストでフェラーリは3日間トップに立ち、楽観した首脳陣が強気発言。今年はどこか違い、メディア対応も控え気味に黙々と進めていった。キミ・ライコネンが2日目、4日目にトップ、セバスチャン・ベッテルも3日目に総合2位相当の1分19秒952をソフトでマーク(ボッタスは2ランク柔らかいウルトラソフトだ)。


 参考までにソフトでのベストタイムを比較するとベッテルが最速で、以下ボッタス1分20秒107、ライコネン1分20秒872、ダニエル・リカルド1分21秒153、ジョリオン・パーマー1分21秒369、マックス・フェルスタッペン1分21秒769。それぞれ条件が違い、ベッテルは午後3時半ごろに比較的暖かいコンディションで出し切っている。


 燃料量は不明だがSF70Hは高速3コーナーできれいなラインを描き、ふたりとも(特にライコネン)クリッピングポイントにスムーズにつけられる。

フェラーリが好調ぶりをアピール
フェラーリが好調ぶりをアピール


 これはかなりの改善だ。昨年の“17年試作タイヤ・テスト”にレギュラー勢で長時間走行したのは彼らだけ、それもプラスか。シャシー空力効率の向上も明らか、そうなると17年PUがフェラーリ復活のキーポイントに。


 チーム別テスト走行距離1位メルセデスは、昨年675周より少ない558周。2位フェラーリは昨年より100周以上多い468周、信頼性領域でも進歩が読み取れる。


 レッドブルに着目すると、昨年のテストでのラップ数369周から295周に低下。エキゾースト系トラブル発生によりプログラムが未消化だった。新設計ルノーPUに悩ましい部分が判明、そこでやや“デチューン・モード”とした(ようだ)。


 レッドブルは回転域をやや低めに直線速度も2日目から抑え気味、その状態で低速シケインでは俊敏性を発揮、ダウンフォースがその速度でも有効だったのは不気味。開幕までにアップデートを練るエイドリアン・ニューウェイが、今回現場視察に来てフェラーリのサイド周辺やメルセデスのフロント周辺を綿密にチェック。右肩上がりでパフォーマンス曲線を上げてきそうだ。

レッドブルの真のパフォーマンスはまだ読めない段階だ
レッドブルの真のパフォーマンスはまだ読めない段階だ


 現時点構図の3トップはメルセデス、フェラーリ、レッドブル。しかし、予想していた以上に戦力が縮まりつつある。それを王者チーム(とハミルトン)もはっきり意識したのではないか。


 中間チームをランダム・チェックしていこう。昨年ランク4位を勝ちとったフォース・インディアは、タイムも走行距離も中位。ニュータイヤ特性把握を重視、こまめに各スペックを同一セッティングで試しながらデータ収集。セルジオ・ペレスの知見を学習する新加入のエステバン・オコンも、無難に走り込んだ。


 一方ウイリアムズの“おぼっちゃま新人”ランス・ストロールは110周をラップし、3度クラッシュ、チームは彼のミスをかばったが、ダメージは深刻、走行1000Km未満で撤収。「フェリペ・マッサが帰って来てくれて本当によかった」。それがチームの本音だ。

クラッシュを喫したストロール
クラッシュを喫したストロール


 昨年は1196Km、今年は964Kmがやっと。トラブル多発のせいで度々のPU交換、回転数を抑えたセーブ・モードでシステムチェックだけをなんとか行った3年目のマクラーレン・ホンダは、ミカン色と黒のニューカラー輝かず……。PUトラブルばかり騒がれたが、MCL32の高速コーナーでのナーバスな挙動が気がかり。


 ふたたび100%ルノー完全復活、再生へのステップを新体制でスタート。“知性派ペア”のニコ・ヒュルケンベルグとパーマーが粛々とこなした。PUをルノーにチェンジしたトロロッソのシャシーは革新的でも、ドライブトレインの不具合に追われ、全チーム中最少走行距離で終わった。


 地道にしっかり体制固めをしてきた今年のザウバーは349周も走り込んだ。16年フェラーリPUままのパッケージングで狙うは、序盤戦に信頼性をあてこみ滑り込み入賞。それには若いふたりがミスなく戦わねば。


 最後に2年目ハース、全チーム中マイレージ4位の距離を走破し、ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンがトップ10に迫るタイムだ。力強いニューカラーに変身、“17年ビジュアル・ランキング”でトロロッソとハースは名門より上位と感じませんか。



(Jun Imamiya)




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