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ホンダ甘口コラム シンガポールGP編:不運でダブル入賞を逃すも、着実にパワーは向上

2016年9月26日

 レースの話をするのに「たら」、「れば」を使うことは御法度であることを承知で言わせてもらえば、シンガポールGPで、ジェンソン・バトンが予選Q2の最後のアタックでコンクリートウォールに接触していなかったら……。そして日曜日レースでスタート直後にバルテリ・ボッタスと接触していなければ……。シンガポールGPのマクラーレン・ホンダは第4戦ロシアGP、第6戦モナコGPに続いて、今シーズン3度目のダブル入賞を果たしていただろう。

 まず予選である。Q2最後のアタックでバトンはセクター1を27.993秒で通過している。これはQ29位だったアロンソより約コンマ2秒速い。続くセクター2はフェルナンド・アロンソのコンマ1秒遅れの40.224秒だった。セクター2通過時のタイムはアロンソが1分8秒278だったのに対して、バトン1分8秒217。つまり、バトンのほうが100分の6秒速かったのである。

 バトンがコンクリートウォールに接触した14コーナーは、セクター2通過直後にあった。もし、接触せずに仮にアロンソがQ2の最後のアタックで記録した36.393秒と同じタイムをマークしていれば、バトンのQ2ベストは1分44秒610となっており、アロンソよりも速かったことになる。

 そのバトンはレースでも不運に襲われる。スタート自体はじつはアロンソよりも良かった。だが、それが逆にアダとなった。ボッタスをかわそうと右へステアリングを切った瞬間に、ボッタスも前方の混乱を避けようと進路を変更したために接触。もし、ボッタスと接触することなく、1周目の混乱をすり抜けていれば、トロロッソの2台をかわせていなかったとしても10位は確実だったに違いない。


 ホンダにとって、もうひとつポジティブだったことは、エンジンのパワーが予想していたよりもシンガポールでは出ていたことだろう。というのも、マクラーレン・ホンダの2人がシンガポールGP期間中に不満を述べていたことのひとつに、グリップ不足があった。本来であれば、シンガポールGPはダウンフォースをMAXにした空力パッケージが投入される。トロロッソが、予選で2台ともマクラーレン・ホンダより速かったのはそれが大きな理由だった。

 ところが、マクラーレンの空力パッケージはMAXのハイダウンフォース仕様ではなかった。金曜日にアロンソが試した最新のリヤウイングは土曜日以降、お蔵入りとなった。ただし、従来スペックのリヤウイングも決してMAXのハイダウンフォース仕様というわけではなかった。

 考えられる理由は、ホンダのパワーを考慮して、少しでもストレートスピードを上げるためだったのではないだろうか。
 ホンダはベルギーGPに7トークンを使用した新しいスペックのパワーユニットを投入した。それにより、デプロイはライバル勢に対して引けを取らなくなったものの、エンジンそのもののパワーでは依然としてギャップがあることも露呈した。マクラーレンはそれを考慮してファクトリーでシミュレーションにかけ、ベストな空力パッケージを選択して、シンガポールへマシンとパーツを送り込んだわけだ。

 しかし、ホンダもイタリアGP後にHRDさくらで制御系のソフトウェアを最適化していた。それにより、若干ではあるが、コース上でのパワーが予想よりも上がっていた可能性が考えられる。

 そのことを如実にあらわしているのは、レース序盤のダニール・クビアトとのバトルだ。序盤、アロンソの背後にはクビアトが約1秒差で迫っていたが、DRSが使用可能になってからも、クビアトが2本あるストレートで、いずれもアロンソのスリップストリームに入ってオーバーテイクすることはなかった。

 さらに燃費も改善されている。シンガポールGPはドイツGPと同様、燃費に厳しいサーキットだが、ドイツGPでは周回遅れにされたものの、シンガポールGPでは同一周回でフィニッシュしている。現在のパワーユニットは燃費向上=パワー向上を意味する。
 残る3トークンをどこで使用してくるのか。ホンダパワーはまだ改善する余地を残している。

(Text:Masahiro Owari)

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