ウイリアムズBMWチームのニック・ハイドフェルドは、モナコGPで彼の2回目のピットストップを予定よりも早く行う決断を下した自チームに感謝した。彼は僚友のマーク・ウエーバーの前に出ることに成功し、最後にはF1における自己最高位の2位を手に入れたからだ。
ドイツ出身のハイドフェルドは、2位争いをしていたウエーバーとルノーのフェルナンド・アロンソに抑えられて4位を走行していた。ウエーバーはイライラしていたのだが、チームは予定を変更してハイドフェルドを先にピットストップさせた。ハイドフェルドが2回目のピットストップを終えると、続いてウエーバーが2度目のピットストップを行い、ハイドフェルドはウエーバーの前に出ることに成功した。しかし、2人はその後も1ストップ戦略を選んだアロンソに抑えられた。
物静かなハイドフェルドは、次のように語った。「とにかくラッキーだったと思う」
「つまり、渋滞の中を走っていて、しかもアロンソはタイヤに重大な問題を抱えていたから、僕が少しだけ早めにピットインすることに決まったんだ。そのとき、僕の方にアドバンテージがあったね」
「アロンソはどんどん遅くなっていった――簡単に言ってしまえば、どこを走っていても遅かったよ。彼はイモラ(サンマリノGP)でミハエル(シューマッハー)との攻防を展開したように、踏ん張ろうとしていたんだと思う。彼は僕らがオーバーテイクできない箇所は、タイヤをセーブするためにゆっくりと走っていたよ。だけど、彼は早々にそうせざるをえなかったんだろうね、それほどタイヤの状態が悪かったから。僕は、数周の間は彼の後ろをついて行こうと思った。彼のタイヤは悪化する一方で、それだけひどい状態なのだから、機会を見て彼を追い抜こうと思ったんだ」
「アロンソはいい仕事をしたと思う。でも、彼のタイヤは早くからダメになっていたよ――彼らはタイヤ選択を間違ったんだ。それは、ピットストップの後、数周で彼に追いつけたことからも分かるよね。彼が周回遅れにつかまったとき、ここがチャンスだと思った。そして、彼をなんとかオーバーテイクしたよ」
ハイドフェルドは、トヨタのヤルノ・トゥルーリがアロンソの目の前に現れたのを知り、アロンソの隙を突いた。71周目、トンネル後のシケインでウイリアムズ車のノーズをルノー車の横に突き出して優位に立ったのだ。
「彼は少しだけ気を緩めていたと思う」とハイドフェルド。
「その前の数周、僕がそれほど果敢には攻めていなかったからね。いや、彼が大きくミスしたならば、その隙を突いていただろう。でも、彼のタイヤはひどく劣化していたから、数周の間は待っていたんだ。彼のタイヤは劣化する一方だと思ったしね。その後、彼がトヨタ車の後ろを走っていた時に、トンネル内で彼のスピードが少しだけ落ちるだろうと考えた。その際、僕は望ましい形でトンネルを抜けなくてはならないと分かっていたよ」
ハイドフェルドにとってこれまでF1における自己最高位は、ブラジルGPとマレーシアGPでマークした3位であった。が、ついにその記録を塗り変えた。また彼は、その結果がモナコという世に知られたサーキットでもたらされたことを、嬉しく思っている。
「素晴らしい気分だね」
ハイドフェルドはそう打ち明けた。
「これがF1でのベストリザルトであり、しかもここモナコで得られたことで、より特別なものになったよ。モナコは好きなサーキットのひとつだけど、世界中で最も難しいサーキットのひとつでもある。本当に素晴らしいね」