モナコGP終盤のミハエル・シューマッハーの強引なライン取りを巡り、弟のラルフ・シューマッハーは危険なドライブだったと非難する一方、ミハエルはレーサーとして当然のことと主張、2人の意見は食い違いを見せている。
レース終盤、タイヤにトラブルを抱えるフェルナンド・アロンソの後ろに4台のマシンが数珠つなぎとなった。集団の中位にいたラルフは、最終コーナーでミハエルが強引にマシンを挟み入れてくるとは予想だにしなかったことだろう。しかし、開幕からの低迷で、1ポイントでも多くポイントを獲りたいミハエルは、別の考えを持っていた。
ミハエルは、ラルフともバリチェロとも強く接触したわけではなかった。しかし、ラルフは、わずかな接触でも大事故になりかねなかったと考えている。
ラルフは独ビルド紙に対し、次のように語った。
「もしもタイヤがほんのわずかでも接触していたら、僕らのうちのどちらかがウォールに突っ込んでいただろう。そうなったら、首の骨でも折っていただろうね。少なくとも僕は、そんなことはご免だ」
ラルフにとって、モナコGPは不運続きだった。まず、フリープラクティス中、ファン−パブロ・モントーヤが引き起こした3台のマシンがからむクラッシュに巻き込まれて、ウォールに接触。数時間後の予選1回目、ライン取りをわずかに間違え、タバココーナーのウォールに激突した。そしてモナコGP決勝、予期せぬミハエルのアクションによって、あやうくクラッシュしかけたのだ。
ラルフはドイツのテレビ局RTLに対し、次のようにコメントした。
「ミハエルが危険な動きをしたんだ。彼は他の人のことをまったく考えていないかのような行動を時々とる。全然別のことを考えているんだ。今年は例年以上にひどい。開幕から低迷しているからね。でも、そんなこと彼に言っても無駄さ。ミハエルは別の考え方をしているからね」
ラルフの指摘通り、モナコGPのことについてミハエルと話し合っても無駄なようだ。ミハエルは、自分が他のドライバーを危険な目に合わせたとは考えていない。
ミハエルはビルド紙に対して次のように述べた。
「僕らはレースをしているのか、それともコーヒーでも飲みにでかけているのか? 僕はラルフのわずか100分の2、3秒後方にいた。いけると思ったとき、何もせずにいられるだろうか? 僕は100パーセント、レーサーなんだ。パスするためにはどんなことでもやるのが当然さ」