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【レースの焦点】“共犯”の意志で結ばれていた3人の王者たち、アロンソがファンに向けた約束のメッセージ

2018年11月28日

 アプリコット色のマクラーレンをエスコートするように、シルバーのメルセデスと赤いフェラーリが並んでいく。それは誰かが用意したシナリオではなく、55周のレースを(2.5秒差で)戦い終えたばかりのドライバーが、自分たちの心の向くままに、フェルナンド・アロンソへの敬意を示した素敵なシーンだった。

 最終戦を勝利で飾ったルイス・ハミルトンは、大きなスタンドに抱かれたターン7のヘアピンでドーナツターンを開始。2位でゴールしたセバスチャン・ベッテルも、ハミルトンに倣うようにターン8でドーナツターンを始めた。11位でゴールしたフェルナンド・アロンソが控え目に手を振りながらふたりに追いつくと、メルセデスとフェラーリは本コースをマクラーレンに譲ったままランオフエリアを走り続け、セクター3で合流──。ホームストレートでは5度目のタイトルを獲得したハミルトン、2回のタイトルに輝くアロンソ、4度のタイトルを誇るベッテルの共演が繰り広げられた。

XPB Images

「まったく、予定されていたことではなかったよ。ルイスとセバスチャンがあちこちでドーナツターンをしていると思ったら……彼らはスタート/フィニッシュラインまで僕と一緒に走ろうとしてくれた──。すごく感動的なインラップだった。この週末、僕はF1界、チーム、ファンのみんなが示してくれた大きなリスペクトに心から感謝し、とても名誉なことだと感じていた」

「そして、僕らは3人で一緒にドーナツターンをした──。ふたりのチャンピオンには心からありがとうって言いたい。キャリアの大半を彼らと一緒に過ごせたことを、とても誇りに思う」

Sutton

 マシンを停めた3人を大きな歓声が迎え、アロンソとハミルトン、ベッテルとアロンソの間で力強いハグが交わされた。

 素晴らしいのは、3人がきっと、言葉では表現できない“共犯”の意志で結ばれていたこと。私たちはそこに“触れてはならない、彼らだけの世界”を感じ、幸せな疎外感のなかで“ワールドチャンピオン”への憧れを募らせる。

「またF1に来てくれるのかな?」というデイビッド・クルサードの質問に「元F1ドライバーとして解説するためでなければね!」と答えたのは、アロンソらしいスパイスの効いた言葉だった。



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