来季のフェルナンド・アロンソの移籍先候補として、意外にもウイリアムズの名前が挙げられている。アロンソ側が将来のフェラーリ移籍を睨んで、ルノーとの長期契約を嫌っているからだという。

　スペインのas.comは、アロンソがかつての雇い主であるルノーに3年契約で拘束されたり、トヨタで下位グループの戦いに終始したりすることを望まず、将来のマラネロへの移籍を見越して1シーズンをウイリアムズで過ごす可能性があると報じている。
　しかしながら、元ワールドチャンピオンがチームに加わるという名誉を別とすれば、アロンソとの契約によってフランク・ウイリアムズが得るものは少ないようにも思われる。
　アロンソが今年限りでマクラーレンを離れるとした場合（その可能性はきわめて高そうだ）、アロンソの新たな落ち着き先として有力なのはやはりルノーだが、1週間前のブラジルでのシーズン最終戦以来、ルノーとアロンソの間には何の動きも見られない。マクラーレンも、まだ両ドライバーと今後のチームとの関係についての話し合いを行っていないものの、ルイス・ハミルトンに関してはサラリーの増額交渉以外には特に話し合うべきこともないだろう。

「考えられる複数の選択肢があり、僕らはその全てと話し合いをしている」と、アロンソはスペインのテレビ局テレシンコに対して語った。
「僕には理想があり、意図があり、夢がある。来年自分が何をしたいかはよく分かっているが、それが現実に可能かどうかが分からないんだ。どういう結果になろうと、来季が厳しいシーズンになるのは間違いないだろう」

　二度の世界チャンピオンに輝いたアロンソは、2008年もハミルトンのチームメイトとしてマクラーレンに留まるつもりはないことをほのめかしており、またルノーとトヨタのいずれについても彼の望む第一の選択肢ではないことを匂わせている。

　しかしながら、トヨタはそうしたアロンソの態度にもめげず、彼がフラビオ・ブリアトーレと契約しなかった場合には“こぼれ球”を拾いに行く姿勢を見せている。ウイリアムズの“エンジンパートナー”であるトヨタは、その立場を利用して彼らの鼻先からアロンソをかすめ取ることも可能だろう。
　また、トヨタならウイリアムズはもちろん、ルノーよりも高額のサラリーをアロンソにオファーできるはずだが、問題はアロンソ本人がトヨタへ行くことを望むかどうかだ。
　もしもフェラーリがアロンソの最終的な目的地であるとすれば、マクラーレンが来季からマラネロへ直接移籍することを認めるとは考えにくく、そうなると1年間の“ガーデニング休暇”よりも、いわゆる“下位チーム”で1シーズンを過ごすことの方が理に適っているとも言える。

　アロンソの“移籍話”に関わっているマクラーレン、ルノー、トヨタ、ウイリアムズの4チームは、フェラーリとは異なり、いずれもまだ来季のラインナップを正式に発表していない。だが、最初のウインターテストが11月13日にバルセロナで予定されていることを考えれば、彼らもここ2、3週間のうちにはラインナップを決める可能性が高い。
　アレックス・ブルツがF1からの引退を表明したため、ウイリアムズには2008年のシートの空席がひとつ存在するが、このシートにはトヨタの秘蔵っ子である中嶋一貴が座るとウワサされている。
　一方、チームはマクラーレンやトヨタへの移籍が囁かれるニコ・ロズベルグの残留を望むことを公に認めており、ロズベルグがウイリアムズに残った場合、中嶋にとってはもう1シーズンをリザーブドライバーとして過ごしながらGP2で戦うという選択も決して悪いものではないだろう…。

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