11月28日(日)鈴鹿サーキットは、トヨタ・モータースポーツの熱気で包まれた。恒例となったトヨタ・モータースポーツ・フェスティバルが開かれたもので、4回目の開催となった今年は、より明確にトヨタ・モータースポーツの変遷を演出。F1参戦3年目を終えたトヨタTF104を運転してグランドスタンド前に豪快に乗り付けた斎藤明彦トヨタ自動車副社長のウェルカム・セレモニーに続き、黎明期、発展期、そして、トヨタ・モータースポーツの現在が、時代を築きあげてきた名車とドライバーにより「時代絵巻」のように繰り広げられた。出場車は、日本国内のモータースポーツで活躍したレーシングカーにとどまらず、ヨーロッパ、アメリカからもトヨタ・モータースポーツの飽くなき挑戦の立役者が勢ぞろい。秋晴れの鈴鹿サーキットに集結したトヨタファン2万2千人の声援に応え、来シーズンへと期待を繋いだ。
▼黎明期
[トヨタ2000GT]
1967年の発売以来国内の多くのレースで勝利。同年 「78時間スピードトライアル」に挑戦。3つの世界記録と13の国際記録を樹立。北米SCCAチャレンジレースでも活躍した。
[トヨタ7]
1968年の日本GPでデビュー。1969年には、ターボも加わりCan-Amシリーズへの参戦も計画された。1957年の豪州ラリーに始まり、1963年の日本GPから本格的な活動を開始したトヨタ・モータースポーツ。この黎明期をトヨタ7とトヨタ2000GTなどの熱い走りから再現。トヨタ7は、第5回日本GPでトヨタ7・5リッターと共に活躍した久木留博之氏。トヨタ2000GTは、1966年にスピードトライアルで国際記録を樹立した田村三夫氏がハンドルを握った。
▼発展期
[トヨタTS010]
1991年のSWCシリーズにデビュー。翌年のSWC開幕戦モンツアで優勝。同年のル・マン24時間では、関谷正徳組が2位に入賞。
[トヨタチェイサー]
1994年から始まった全日本ツーリングカー選手権(JTCC)に参戦。1998年には、エッソ・チェイサーで関谷正徳氏がチャンピオンを獲得した。現在のトヨタ・モータースポーツの礎となる華々しい活躍を成し遂げた1990年代の発展期を再現。日本国内のGr.Aで活躍したチェイサーには、関谷正徳氏。トヨタTS010は、荒聖治選手がハンドルを握り、エキサイティングなレースシーンを彷彿。国内タイトルのみならず、国外タイトル獲得へWRC、そしてル・マンへの確かな進化を顧み見た。
▼現在
[エッソ・フォーミュラ・トヨタ]
1990年に未来のトップドライバー育成のために設立され、全車1.6リッターのトヨタ4A-Gエンジンを同じシャシーに搭載する。F3や海外レースへのスカラシップ制度も用意される。
[フォーミュラ3]
1979年にスタートした全日本F3は、現在もトヨタ3S-Gエンジンが活躍。今季は全20戦中13勝を挙げている。
新世紀を迎え、さらなる頂点への挑戦を開始したトヨタ・モータースポーツはF1GPに照準を定めた。今年、挑戦3年目を迎えたトヨタTF104に乗るライアン・ブリスコと、アメリカで活躍の高木虎之介選手がドライブするチャンプカーが、未来を担う若手ドライバー平中克幸選手のFT(フォーミュラ・トヨタ)と池田大祐選手のF3を、期待を込めて迎え撃つ。
[トヨタTF104]
F1参戦3年目を戦ったトヨタTF104は、第12戦ドイツGPから大幅に改良されたトヨタTF104Bへと進化。さらに、ドライバーラインアップも終盤戦で大きく変更され、第17戦日本GPから、新たにヤルノ・トゥルーリがチームに加わり来季へと心機一転。
ドライバー:ライアン・ブリスコ
「今シーズンは、終盤の6戦をサード・ドライバーとして金曜日に走り、ここ鈴鹿サーキットでも、ファンを前に声援を受けた。しかし、今日のTMSFは、まったく別の感動を覚えた。2回目のTMSF参加で、毎年、ファンの声援と熱い思いが、増して来ているのを肌で感じ、とても嬉しい。世界各国で戦う仲間と、一堂に会せたことも素晴らしかった」
[ローラB2/00(CART)]
2002年のCARTシリーズでクリスチアーノ・ダ・マッタ選手がチャンピオンを獲得。エンジンはトヨタがCART用に開発したV8、2650ccにターボを装着。メタノール燃料を使用して、ターボ過給圧も制限されるが、エンジンパワーは800馬力を優に超える。
ドライバー:高木虎之介
「IRLシリーズでの、今年の戦績は、昨年に比べ、本当に不満の残るものとなってしまった。しかし、3年前のCARTマシンを、鈴鹿サーキットで走らせる機会に恵まれ、オーバルコース用のセッティングをロードコース用に改良して、ターボ全開で走り抜けた。今日のトヨタファンの声援に応えるためにも、来シーズンは、何としてでも好成績を目指したい」