近年、F1の“リングマスター”として知られてきたバーニー・エクレストンが、スポーツ界で1番有名な競技会、オリンピックの運命を左右する役割を担うことになるかもしれない。
英デイリー・テレグラフ紙によると、エクレストンは現在、2012年のオリンピックをロンドンに誘致するにあたってその手腕を発揮してほしいと誘致委員会からラブコールを受けているという。ロンドンは誘致合戦序盤を有利な展開で進めていたものの、ここへきて、ライバルのパリ、マドリッド、モスクワ、ニューヨークから激しい巻き返しを受けている。
イギリスGPの表彰式にここ数年姿を見せているリチャード・カボーン スポーツ大臣は、エクレストンに頻繁に会って誘致委員会で働いてもらうよう説得を続けているようだ。カボーン大臣と誘致委員会のメンバーは、エクレストンが世界の国々の大臣に会っていること、ならびに、先週ロンドンのリージェントストリートで行われたF1パレードで見せた彼のプロモーション能力を高く買っている。
エクレストンの誘致委員招聘については、F1の仕事仲間であるロン・ウォーカーの後押しもあったようだ。ウォーカーは、現在チャンピオンシップの開幕戦をホストしているオーストラリアのGP委員長で、2006年にメルボルンで開催される英連邦競技会の責任者でもある。彼もまたカボーン大臣に会い、エクレストンをロンドンオリンピック誘致委員会の委員長に推薦したと見られている。委員長は、当初アメリカ人のバーバラ・カッサーニ女史が務め、その後、元オリンピックゴールドメダリストのセバスチャン・コー(現国会議員)が務めている。以来、ウォーカーはエクレストンが誘致委員会の要職を務めることを提案している。
ケン・リビングストーン市長の全面的バックアップを受けて開催されたロンドンでのF1イベントでは、ファン−パブロ・モントーヤがドライブするBMWウイリアムズのマシンに、オリンピックの誘致活動を宣伝するステッカーが貼られていた。
ロンドンを含む5つの候補地は、今年11月15日までに「立候補書類」をまとめてIOCに提出しなければならない。その後、IOCの評価委員会が書類内容を細かく分析して立候補のあった街の現地視察を行い、レポートの発表を経て、その1カ月後に候補地決定の投票が行われる。最終決定は、来年7月にシンガポールで開かれるIOC総会で行われる。