昨年のスペインGPで6位に入り、F1での初ポイントを獲得したトヨタのクリスチアーノ・ダ・マッタ。今年のバルセロナでのレースが来週末に迫る今、その展望を語ってもらった。
Q:スペインGPが開かれるバルセロナのカタルニア・サーキットはすべてのF1チームがよく知るトラックです。あのトラックがテストに向く理由は何でしょう?
ダ・マッタ(以下CdM):皆があそこに行く最大の理由は、特に冬の間、他の大抵のサーキットに比べて天候が安定しているからだ。また、ヘレスやバレンシアほど遠くないので機材の陸送も助かる。そしてなんといってもトラック自体が、異なったタイプのコーナーが混在するためF1カーのテストに適しているのだろう。長いカーブや高速の流れるようなコーナー、それにハードブレーキングの場所もいくつかあって、低速や高速のすべてを同時にカバーするマシンセットアップに臨むことができる。
Q:カタルニアで今まで通算で何周くらい走ったか分かりますか?
CdM:正確には分からないが、20日以上になることは確かだ。なんだかんだでかなりの周回数になるだろう。合計何回サーキットに行ったかさえ分からないくらいだから、相当な数だろう。しかも僕はまだこれでもF1にきて1年しか経っていないんだから・・・。
Q:カタルニア・サーキットは好きですか?
CdM:好きなトラックだよ。とても興味深く走るのが楽しいところだ。流れるようなコースなので各コーナーを走り抜ける流れの勢いを維持することが大切になるから、あのサーキットではマシンセットアップをするのが楽しい。セットアップは、僕らが先週テストをしたイタリアのムジェロで使ったのと似た感じ。それにシルバーストンや、部分的には鈴鹿にも似ている。残念ながら僕ももう何度もあそこで走っているので、特に目新しさはなくなってしまったけれど。
Q:20回も走った今でもコースについて学ぶことはあるのですか?
CdM:どこのトラックに行っても学ぶべき新しいことは常にある。もちろんバルセロナでは多くのチームが、もう何度も走っているため、より深い部分まで把握している。皆がかなりの走行距離を重ねていて皆が同条件だから、深い部分まで把握したからといってそれが優位性にはつながらない、そういう種類のトラックだ。しかしそれでも新たに学ぶことは常にある。例えば一年間毎日通って走っても、それでも何かを学べるはずだよ。
Q:どのチームも金曜の準備仕事が減るなど、誰もがよく知るためのグランプリの違いはある?
CdM:レースの週末はトラックに出られる時間に限りがあるし、全チームが同じタイミングで仕事をしているから、テストとは異なった状況になる。もちろん全く違うというわけではないが、通常テストでやるのとは常にどこか違う作業が出てくる。それにテストがあるのはいつも冬でとても寒い時期だ。レースの頃には最低でも気温は20度以上になるからね。
Q:天候の違いはサーキットにどんな影響がありますか?
CdM:ウェットになってもサーキットが特に変わるわけではない。ただ、他のどのトラックでもそうだが、風が強くなると別だ。バルセロナは特に風向きの変化により敏感なようだ。
Q:トラック周辺のバルセロナの街は好きですか?
CdM:スペインは大好きだし、友人もたくさんいる。時々はテストの後に2〜3日残って友人に会ったりもするよ。バルセロナの市街に行くのも好きだ。とても活気ある街でいいレストランがいっぱいあって僕は大好き。マウンテンバイクに乗るのにいい場所も近くにあって、テストで訪れたときに時間を作って行くこともある。レースのときはあいにくそういう時間は取れないけど。
Q:昨年は6位でF1初ポイントを獲得されました。どんな週末でしたか?
CdM:イベントの間ずっといい週末だったが、特に金曜の予選がよかったのを覚えている。4番手につけたんだ。もちろん何でも初めてのことはいい記憶として残るから、去年あそこで初ポイントを獲れたこともいい思い出だ。
Q:序盤にあれだけいい結果を出すと、シーズン全体にも期待がかかったことでしょう。
CdM:ある時までは確かにそうだった。何度か機会を逃すこともあったが、去年はまだみんなビギナーで、チームはF1で2年目、僕は最初の年だったからね。だからこそ今シーズンはチャンスを逃すようなことがあれば、みんな昨年経験したことだけに、今度は自分たち自身を許せなくなるだろう。今年は自分たち自身により厳しい年になるはずだ。
Q:今年のスペインGPでパナソニック・トヨタ・レーシングがポイントを重ねられる可能性は?
CdM:去年の今ごろは、今季よりも明らかに好調だった。だがこれまでの4レースに比べたらバルセロナにはより大きなチャンスがあると思う。冬のテストの様子からトラックが僕らの車にぴったり合うと分かったからだ。去年の走りと同じくらいの速さでぜひ今年も走りたい。いいことばかりの思い出を、これからもそのまま維持したいんだ。