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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第12/13戦】ガスリーに予選で勝っているのは速さの証明。いずれ結果がついてくる

2022年8月12日

 2022年、アルファタウリの角田裕毅は、F1での2シーズン目を戦っている。昨年に続き、エディ・エディントン氏が、グランプリウイークエンドを通して角田の動きをくまなくチェックし、豊富な経験をもとに、彼の成長ぶり、あるいはどこに課題があるのかを忌憚なく指摘する。今回は2022年F1第12戦フランスGPと第13戦ハンガリーGPについて語ってもらった。


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 ハンガリーGPを終えて、F1界の人々は前半13戦での自らの戦いぶりを振り返り、何が良かったか、何が悪かったかを分析してから、本格的な休みに入ったはずだ。私はもちろんこの半年の自分に満足している。常に相手に的確なアドバイスをし、それを聞き入れた人たちの改善のために大いに役立ったのだから。


 このコラムを通して私が常々行っているアドバイスが裕毅に届いているのだと確信したのは、彼がこの2戦で間違いなく前進を示したからだ。フランスでもハンガリーでも、ピエール・ガスリーに予選で勝ったのだ。フランスで感心したのは、アップグレード版のAT03に乗れたのはFP1ではなくFP2からであったにもかかわらず、裕毅が予選Q3まで進んだことだ。経験豊かなガスリーがQ1で敗退しただけに、この結果は際立ってみえた。とはいえ、信頼できる情報を持つ知人が言うには、チームはガスリーに関して不手際があり、タイヤの準備をうまくやれず、トラフィックの中に出すという失敗もしていたということだが。


 いずれにしても角田がフランスの予選で見事なパフォーマンスを見せたことは間違いなかった。ただ、決勝では1周目にオコンにぶつけられて、すべて台無しになってしまった……。

2022年F1第12戦フランスGP 角田裕毅(アルファタウリ)がヒットされてスピン
2022年F1第12戦フランスGP 角田裕毅(アルファタウリ)がヒットされてスピン

 翌週のハンガリーの予選で、アップグレード版AT03は全く機能しなかった。チームがセットアップに失敗したからで、そのために2台揃ってQ1落ちという悲惨な結果になった。だが、ここで注目したいのは、角田がガスリーより0.3秒も速かったということだ。やはり、私のアドバイスがじわじわ効果を発揮し始めているということなのではないか。


 だが誤ったセットアップのマシンで決勝で良いパフォーマンスを見せるのは無理な話だった。一方のガスリーはセットアップをしっかり改善してピットからスタートし、堅実なレースを走った。新パーツによってAT03の速さは向上したのかもしれないと感じさせる走りだった。

2022年F1第13戦ハンガリーGP 角田裕毅(アルファタウリ)
2022年F1第13戦ハンガリーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

 角田は7戦連続ノーポイントという結果で前半戦を締めくくり、失意のうちにサマーブレイクを迎えたかもしれないが、それでもポジティブに受け取めるべき要素はある。


 それは、彼に速さがあるということだ。予選でガスリーより速く走る能力があることを示せたのだ。予選で速く、トップ10以上からスタートできるなら、ポイントを獲る可能性はぐんと高まる。だから角田には、F2で活躍し始めた日本人ドライバーのことを褒める人々の声を必要以上に気にせずに、地道に努力し続け、良い走りを心がけ、ドライバーとしてもひとりの人間としても成長し続けていけば、何も心配することはないと言いたい。


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筆者エディ・エディントンについて


 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。


 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。


 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。


 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。



(Eddie Eddington)


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