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連載「FACES」第2回:ダニール・クビアト

2015年8月11日

 かかさずF1を見ていても、ドライバーの素顔に触れる機会は驚くほど少ない。マシンに乗り込むまでの短い時間と中継で流れる無線の会話が手がかりで、あとは雑誌やニュース記事で伝えられる言葉から、想像をふくらませるしかない。2014年に19歳でF1デビュー、初戦で当時の史上最年少入賞記録を更新したダニール・クビアトのことを、どれくらい知っているだろうか。みるみる大きくなっていく彼について、ひとつひとつは小さなエピソードから、誰にも似ていない独特の個性を感じてほしい。

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 子供の頃に憧れたドライバーを訊ねると、即座に「ミハエル・シューマッハー!」という答えが返ってきた。

「カートで走り始めた9歳のときから。子供だったから、特に印象的に残ったんだと思う。赤いマシンに乗って、いつも優勝していて、アプローチも何もかも、まるで映画のなかのスーパーヒーローみたいだった。子供ってスーパーヒーローが大好きでしょ? 幼い頃の僕にとってミハエル・シューマッハーはF1に乗ったスーパーマンみたいな存在だったんだ」

 とても素直に子供の頃の憧れを説明したあとで「いまでも」と、つけ加えた。

 ダニール・クビアトの言葉は、こんなふうにストレートで、理屈めいたところが一切なく、それでもかなり頻繁に、軽く、心の扉を“トントン”とノックしてくる。

 2014年のオーストラリアGPでF1にデビューして以来、若さを取り沙汰されるたび「レースなら自分はずっと前から経験している」と答えてきた。「F1は視線を集める世界だし、たくさんの人が働いている。でも僕にとって“マシンを操縦する”という意味で、これまでのカテゴリーとそんなに大きくは違わないと思う」とも言った。それは決して彼が尊大だからではなく、若さや経験不足という言い訳を自分に許していないからだ。





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