ホンダF1チームにロス・ブラウンが加わることが発表されて以来、ジェンソン・バトンの思考様式は、悲観主義から楽観主義へと変わっているようだ。
それがただちに成功につながるとは予想しないものの(元フェラーリのテクニカルディレクターが来年のマシンの開発には参加していないことを考えれば、おそらく賢明な判断だ)、バトンは2009年にはまるで違った状況になっているかもしれないと主張する。
「2009年には優勝争いができるようになっているかもしれない。そして選手権争いにも挑戦しているかもしれない」と彼はBBC放送の『ラジオ・ファイブ・ライブ』で語った。
「ロス・ブラウンがチームに加わったことで、技術的な面での指導力が期待できるからね」
ブラウンの加入は、彼のマラネロへの復帰に関するフェラーリとの交渉が不調に終わった後、3週間ほど前に正式に発表された。このチームに加わったと同時にマシンの設計とその走らせ方を完全に任されることになったブラウンには、2007年にわずか6ポイントしか獲得できず(その全てをバトンが稼ぎ出した)、ホンダという後ろ盾がありながら、はるかに規模の小さい中団グループのライバルたちにも及ばなかったこのチームの建て直しが期待されている。バトンはRA107を“駄犬”と呼び、まともに戦える可能性がないのであれば、F1以外のカテゴリーも含めた他チームへの移籍もあると、ほのめかすほどだった。
「昨シーズンは本当にひどいものだった」とバトン。
「だが、終盤に近付いた頃には何が問題なのかが明確になり、クルマの改善だけでなくチームのスタッフに関しても軌道修正をした。チームには優秀な空力専門家がいなかったが、今ではそうした専門家も何人か雇い入れた。彼らはいくつかの素晴らしいアイデアを持ち込んでいるよ。これからはかなりの成績が期待できると思うし、全員がハードに仕事をするつもりでいる」
「ロスがチームに加わることになりそうだと聞いたとき、僕はものすごく嬉しかった。チームにとってこれ以上いいことはないと思うし、そこには成績を挙げるために本当に才能のある人物を雇うというホンダの姿勢も示されている。ミハエル・シューマッハーはロスこそF1の“スーパーブレイン”だと言っていた。もし彼を迎えても選手権を勝ち取れないとしたら、おそらく僕らはF1に参加するに値しないチームなんだ」
「2008年には、昨年と比べればかなりの進歩を示せると思う。まあ、それ自体はそんなに難しいことではないだろうけどね。けれども、僕らがいきなりレースで勝ち始めるとも思っていないし、勝つことは期待しないでほしい。来年はまだレースで勝てるところまでは行かないと思うんだ。重要なのは、いいクルマでシーズンをスタートして、フェラーリやマクラーレンに近付くためにレースごとに進歩していくこと。そしてロスはそのため重要な役割を担ってくれる。来シーズンの終わりまでに競争力のあるクルマに仕上げることができたら、2008年に関しては十分に満足できると思うよ」