2006年にF1は新時代へと入ろうとしているが、ジェンソン・バトンは、F1のスピードを過度に落とそうとするのは好ましくないとの見解を述べた。
来季は参戦チームのほとんどがV8エンジンに移行することになっており、そのためのV8でのテストが先週スペインですでに開始されている。バトンは、F1が世界のモータースポーツの頂点に留まるためには、レギュレーションをあまり変更しすぎないことが重要だ、と述べた。
「スローダウンさせるためにあまりいろいろ変更しすぎない方がいいな」とバトンは語った。「エンジン面では何か手を打つことが必要だった。今のためではなく、1000馬力を超えてしまうかもしれない2年後を見越してね。そこまで行くとちょっと行き過ぎだから、この変更はいいことだし、来年、エンジン面で誰が最高の仕事をしたか見るのは面白いと思うよ」
「僕はただ、スローダウンさせられすぎるのはいやなんだ。だって、F1はモータースポーツの頂点なんだし、マシンは今のようにドライブするのが難しくなくちゃいけない」
バトンは、カタルニアテストで、来季使用することになる新しいホンダV8エンジンを初体験した。バトンの見方によると、新しいエンジンの導入で、ドライバーたちは来季のドライビングスタイルをそれに適応させる必要が出てくるだろうし、人によってそれが障害になる場合も出てくるだろう、ということだ。
「僕らはまだ時速200マイル以上で走っているし、V10よりも1周につきたった3秒しか遅くなっていないから、それほど遅くなったわけじゃないよ。確かに、感じは違う。前ほどのトルクがないし、ミスをするとそれが本当によくわかる。窮地に陥ったときに、そこから抜け出すだけのトルクがないから、コンスタントに走れない連中にはきついだろうね。誰かが目の前でミスをしたら、ミスから立ち直るのが難しくなるはずだから、オーバーテイクは前より簡単になるだろう」
「V8では、スムーズであることが重要なので、前と違ったドライビングスタイルが必要になる。それが僕の助けになることを期待しているよ。奇妙なことに、バルセロナでは3コーナーが全開で行けるようになったんだ。前は決して全開では行けなかったのに。あそこはもうコーナーじゃない。そういうことが、もっと他のサーキットでも起こるかもしれない。空力的には、僕らは年々改良を続けているから、来年はもっと強くなるはずだ。だから、ダウンフォースは増えて、パワーが減ることになるだろう」
「そう聞くと、マシンがドライブしやすくなるみたいだけど、僕はそうならないと思う。V8エンジンは、マッピングが難しく、スムーズなパワーカーブを得るのが難しいからね。そこが大事なところだから、チームスタッフは今、それに取り組んでいるところだと思うよ」