26日に世界モータースポーツ評議会(通称:ワールドカウンシル)が承認したタイヤルールの変更について、FIAが推し進めているコスト削減の考えに矛盾すると、ミシュランがいち早く、反論を呈した。
ミシュランは、FIAがレース中のタイヤ交換を再び認めることになった過去への後退案に「困惑している」と語った。FIAは、来季から2.4リッターV8エンジンを導入し十分にスピードが落とせると考えられるので、タイヤ交換復活に問題はないとの見方だ。
ミシュランはまた、カウンシルがが来季から1チームで使用できるタイヤの数の増加について、事前告知なしに勝手に決定したことについて不満を述べるとともに、いずれのルール「変更も、FIA会長(マックス・モズレー)が求めるコスト削減の目標に矛盾する」と主張した。
ミシュランは、ルールが新しくなれば、タイヤ開発コスト、生産コスト、輸送コストが、すぐに15%増加すると見ている。2005年用の技術をそのまま2006年用のタイヤ開発に用いることができないためだ。従って、「製品技術、ならびにタイヤというものについて、まったく理解していないまま決定が下された」と述べている。
またミシュランは、タイヤの耐久力とグリップは特定の距離で最大限の力を発揮できるよう計算されており、2005年は走行距離を350kmに設定して開発したのに、2006年からは100km、あるいはそれ未満の距離で交換するものを造るとなれば、フルチェンジした次世代タイヤをデザインしなければならず、必然的にコストが上昇すると述べた。
しかし、ミシュランの本心は、今年、ライバルのブリヂストンに圧倒的な差をつけることができたのに、ルール変更によって、その差がなくなることを恐れているのだろう。ミシュランはレース距離全体にわたってブリヂストンより優れていただけでなく、1ラップの予選でもすぐに十分に発熱するタイヤを供給してきたが、2006年から新ルールが導入されれば、そのアドバンテージがが失われてしまう。2008年からタイヤメーカーが1社になる可能性も出ており、ミシュランは、ブリヂストンが来季、かつての強さを発揮できるようチャンスを与えられ、2008年からブリヂストンがタイヤメーカーに指定されるのではと恐れている。
「ミシュランは2006年F1レギュレーションに隠されたFIAの意図に疑問を呈する。今回の出来事にも、F1における意思決定の一貫性のなさと、透明性の欠如という問題がはっきりと表れている」
「この問題について、ミシュランのパートナーチームが可能なかぎり努力をしてくれたことに感謝する。残念ながら徒労に終わったとはいえ、彼らは新しいレギュレーションが過去に逆戻りすることに、最後まで抵抗してくれた」