中国GP終了後、ルノーのエンジニアリングディレクター、パット・シモンズは、レースが荒れた展開になったため、最新の開発を施したマシンがどれほどのポテンシャルを持っていたかをはっきり示すことができなかったと述べた。
中国GPのレースは、セーフティーカーが2回、19周目と30周目に導入されたことによって3つのステージに分かれ、そのどちらもルノー・チームに不利に働いた。フェルナンド・アロンソはスタート直後からトップを走行、19周目に20秒のリードを、さらに30周目には5秒のリードを築いていた。しかし、どちらの場合も、そのアドバンテージがそっくり失われる結果となった。では、セーフティーカーが出動して全車が連なって走ることにならず、25秒差のリードも奪われず、さらにはアロンソとジャンカルロ・フィジケラが続いてピットに入ってマクラーレンのキミ・ライコネンに先行を許すこともなかったと仮定してみよう。その場合、どういった結果が出せたのだろうか?
「実際の記録には、ルノーは1位、4位でフィニッシュしたと記される」とシモンズ。
「けれど、セーフティーカーが我々のレースを台無しにしなければ、1位と3位は確実だったろうし、1−2フィニッシュの可能性も高かっただろう。もちろん、もっとクリーンなレースであったなら、と思っている。そうなれば、エンストンとビリーにいるスタッフがシーズン終盤のために達成したマシン性能がどの程度のものなのか、はっきり分かっただろうからね」
日本GPの最終ラップで優勝を逃したフィジケラは、チームのダブルタイトル獲得に対する貢献が見落とされがちだが、シモンズはそんなフィジケラに対しても、賛辞を惜しまなかった。
「ジャンカルロには、特別な褒め言葉を送るべきだ」とシモンズ。
「彼は素晴らしいレースを披露した。チームの目的を完全に把握していたんだ。無私無欲な走りであり、最初のスティントでは彼自身のペースをコントロールし、マシンがレース終盤までいい状態をキープできるようにしていた。それもマクラーレンと程よいギャップを保ったままでね」
「鈴鹿サーキットでいくらか批判されていたようだが、我々ルノーはチームとして勝ったり負けたりしているのだ。見事なパフォーマンスで立ち直った彼の姿を見られて、非常に満足できたよ」