同郷のイギリス人びいきでありたいのはやまやまのジャッキー・スチュワ―トだが、来季のジェンソン・バトンについて、ルーベンス・バリチェロを僚友に迎えて、ファーストドライバーの地位を維持するためには、相当な頑張りが必要だと述べた。
スチュワ―トは、かつて自らの名を冠したチームで3年間ステアリングを握り、その後フェラーリに入ったバリチェロについて、これまでミハエル・シューマッハーの僚友として培ってきた経験によって、BARを今以上にワールドタイトルに近づけるだろうと述べた。
スチュワ―トは英メイル紙日曜版の中で、次のように語っている。「来季はジェンソンとルーベンスの間で素晴らしい戦いが見られるだろう。私はジェンソンをドライバーとしてかなり高く評価している。しかし、総合的に判断して現時点ではルーベンスの方がジェンソンよりかなり優れていると思う」
スチュワートは、バリチェロがジェンソンに勝っている理由の1つとして、彼の落ち着いた家庭生活を挙げる。バリチェロには最近2人目の子供が誕生した。一方、バトンはデビュー以来トップチームで活躍してきてはいるが、独り身ゆえに精神的に落ち着いていない部分があるとスチュワ―トは見る。
「ルーベンスは私生活が充実している。責任感、集中力、知見がある。しかも、優勝経験がある。つまり、壁をすでに突破している。ルーベンスもジェンソンもワールドチャンピオンになりたがっている。しかし、ルーベンスの方が、ワールドチャンピオンになる方法をよく知っている」
バトンは、デビュー以来ウイリアムズ、ベネトン/ルノー、BARと渡り歩き、先日キャリア100戦目を迎えたが、いまだに優勝経験がない。スチュワ―トは、バトンが25歳の若さで100戦目を迎えたという点は強みであるとしながらも、優勝経験のないことが心理的に何らかの影響を与えるのではないかと考えている。
「ジェンソンはこれまでワールドクラスのチームで戦ってきたが、優勝まで少し時間がかかり過ぎている。去年は10回も表彰台に上ったというのに、1回も優勝できないなんて、ちょっと変だよ。ナイジェル・マンセルも優勝までに時間がかかったけれど、1度優勝したら、次々と勝つようになった。ジェンソンも1度は優勝の壁を越えなければならない。1度優勝すれば、もう大丈夫だろう。もっとも、それがいつのことになるのかが唯一の疑問だが、彼の能力については何の疑いもない。彼はとても正確ないいドライバーだ」
来季から純ホンダチームとして選手権に挑み、チーム名も改められるのではないかと囁かれるBARは、2004年の好調さを維持できなかった悔しさを乗り越え、ルノーやマクラ―レンとのギャップを縮めて優勝争いを演じたいと考えている。バトンは来季もBARでドライブを続けることで、バリチェロに優位に立たれる前に、優勝という最後の壁を越えたいところだろう。