FIA会長マックス・モズレーは、F1のグリッド数が増えそうな現在の動きを歓迎しながらも、新規参入チームへのサポートを考えている現存チームは、マシンそのものを提供することはできないと警告している。
モズレー会長は、上海で行われた中国GPで英クラッシュネットのインタビューに対し、新規参入チームのサポートを計画している現存チームは、ルールブックを熟読しておかないと、ライバルチームに落ち度を指摘され、論争が巻き起こることになるだろうと語った。
「規則を遵守する限り、彼らはかなりいろいろなことができるだろう」。2006年にホンダとレッドブルがセカンドチームを運営するという動きについて意見を求められてモズレーは語っている。「ただ彼らは、コンコルド協定のスケジュール第3項に違反した車両を有することは許されない」
「これによると、どのチームもレースを行う車両の知的所有権を所有しなければならないと規定されており、車両のいかなる部分も、他のコンストラクターによって製作及び設計されていてはならないとある。どのチームもこの条件を満たさねばならない。その条件を満たすことができさえするならば、私は新規チームの健闘を祈りたい。だが満たせない場合は、もちろん彼らはその車両をレースに参加させることはできない」
レッドブル・レーシングは来年、トロ・ロッソに対しレッドブルの2005年型マシンを提供し、V10エンジンで走らせようとしているといわれているが、モズレーはこれは許されないと断言した。一方で、BARについては、ホンダの計画するセカンドチームに対し来年の008シャシーのアイデアを共有するという案を推し進めるならば、事前に規則をチェックする必要があると警告を発している。
「あるチームから他のチームに対して行えるのは、ノウハウ、技術情報、あるいは技術そのものの譲渡である」とモズレー。「しかし、車両の部品そのものは、彼らが自ら設計しなければならない。あるいは、第三者に設計させる必要がある。パーツの製造に関しても全く同様だ。知的所有権に関しては譲渡が可能なので、売買すればいい。面倒なのは、パーツのデザインと製造だ」
「ノウハウや技術を提供することは可能だ。そこには実際には費用が発生するだろうがね。ただ設計や製作は、他のコンストラクター以外の何者かによってなされなければならないのだ。つまり、あるものが有する特性を知ることはできる、またその特性をもとにして設計することもできる。そうすれば2つの設計は別物であると主張することはできるだろう」
「もうひとつの方法としては、第三の会社を立てて、車両の設計を行わせることはできる。その場合は、2つのチームは規則をクリアすることになる。アプローチの方法はいくらでもあるが、こうすべきだということを彼らにアドバイスすることは私の本意ではない。彼らは自らその道を探らなければならない」