トヨタモータースポーツの社長、ジョン・ハウエットによれば、BARのシートを失った佐藤琢磨とジョーダン/ミッドランドチームとの契約に、トヨタがプレッシャーをかけることはないという。琢磨とつながることによって、マーケティング上の利益があることが明らかである見られていてもだ。
琢磨は、BARのシートをルーベンス・バリチェロに譲ることになったため、現在、来季のシートを探している。マネージャーのアンドリュー・ギルバート-スコットによれば、現在のチームから提示されているテスト契約ではなく、レースシートを探しているという。インテルラゴスのパドックでのウワサでは、琢磨はジョーダンの検討している大勢のドライバーのリストに加わるのではないかと見られていた。
しかし、ハウエットは、同チームにエンジンを供給するトヨタがこの件に手出しすることはない、と主張している。
「もし彼らが佐藤を選ぶなら、それは純粋に彼らの選択だ」とハウエットはブラジルGPでロイター通信に対して語った。「彼らは選択肢のひとつとして、佐藤と話をしているのだと思うが、それに私たちが圧力を加えているということはまったくない」。
琢磨の降板により、日本でホンダが直面する反発に乗じる機会ではあるのだが、ハウエットは、トヨタが独自の有望な日本人の若手を大勢抱えており、必ずしも琢磨に頼る必要はないのだと指摘した。
「あのドライバーたちを3、4年のうちにF1に連れてくることこそ、私たちが将来本当に目指していることなのだ」とハウエットは、ヨーロッパでレースをしている平手晃平や小林可夢偉らを例に挙げて語った。
ジョーダンのマネージングディレクター、コリン・コレスがロイター通信に明かしたところでは、まもなくミッドランドと改名される同チームは、すでに佐藤琢磨と話し合いを開始しているが、彼は大勢いる来季のドライバー候補のひとりにすぎないということだ。
「彼はF1に留まりたがっており、ウチにはシートがある。それで、私たちはその解決策を見つけなくてはならないのだ。彼がいくら持ち込むかという、金の問題ではない。それはアンソニー(・デイビッドソン)と同じだ。チームが来季に頼るスポンサーシップの問題なのだ」
「もしベンソン&ヘッジズや(親会社の)ギャラハーが、過去と同じだけの金額をつぎ込むとすれば、もちろん彼らはイギリス人ドライバーがチームにいてほしいと考えるだろう」
デイビッドソンは先週ジョーダンでテストを行ったが、最新のパドックのウワサでは、彼は佐藤琢磨と現ミナルディのクリスチャン・アルバースに破れるかもしれないと言われている。アルバースも過去にジョーダンでテストをしており、オランダのスポンサーをバックにつけている。しかしコレスは、チームは2006年のラインアップ決定を急いではいない、と述べた。
「私たちは、いいドライバーを手に入れるチャンスだと思う。最終的に何が起こるのかを見るつもりだが、今のところはいい立場にいると思うね」とコレスは語った。