カナダGPでルノーは、2年連続で両ドライバー揃ってリタイアに終わってしまったが、ルノーF1のボス、フラビオ・ブリアトーレの自信は全く揺らいでおらず、フェルナンド・アロンソのリタイアは、チャンピオンシップのためにはよかったとまで語った。
ブリアトーレは、レースにおいてもタイトル争いにおいても、エキサイティングな戦いを昔から望んできた。今年に入ると、自身のチームを含めて、1チームの独走体制はF1のためによくないと述べていた。モントリオールでは、アロンソもジャンカルロ・フィジケラも、チームにとって今年6度目の優勝をもたらす勢いの走りを途中まで見せていたが、ふたりは、わずか数ラップの間隔で、ともにリタイアを喫した。
フィジケラは4番グリッドからスタートし、フロントロウのふたりのドライバーをパスしてトップに躍り出た。アロンソもフィジケラに続いてターン1に入り、ターン2では2台のルノーが1−2体制を築いてレースを引っ張った。アロンソはレース中、チームに対し、自分の方が速いということをフィジケラに伝えるよう、繰り返し求めていたが、最終的にフィジケラがパスされることになったのは、彼がその忠告に耳を貸したからではなかった。
フィジケラは不運にも、ハイドロリック系のトラブルに見舞われ、ギヤボックスが正常に働かず、アロンソにリードを明け渡すことになった。フィジケラがリタイアし、ジェンソン・バトンがピットに入った後、アロンソは、ファン・モントーヤとキミ・ライコネンのマクラーレン勢から次第にプレッシャーを受け始め、ついにターン4でウォールに接触し、サスペンションに大きなダメージを受け、リタイアとなった。
ライコネンは優勝を果たし、タイトル争いではアロンソとのリードを縮めることになった。しかし、ブリアトーレは、この結果を大局的な立場に立って見ている。
ブリアトーレは、サーキットに来場していたテレビレポーターたちに対し、次のように語った。「別に災難でもなんでもない。災難はもっと不幸な人々に起こっている。ちょっとついていなかっただけだ。そんなことなら、F1では普通のことだよ。私たちがラッキーなときは、他の人がアンラッキーになる。しかし、カナダでの出来事はF1のために、そしてチャンピオンシップのためにいいことだ」
ルノーのエンジニアリングディレクター、パット・シモンズもまたレース後、今年初めてのリタイアでノーポイントに終わったアロンソを責めるべきではないとおだやかな調子だった。
シモンズはロイター通信に対し、次のように述べた。「彼はハードに攻めて、ウォールにヒットした。フェルナンドは滅多にミスをしない。今年は素晴らしいレースを何度も見せてくれている。ミスをほとんどしないので、今回の出来事は責めないでおきたい」
アロンソとフィジケラのふたりがリタイアしたことで、ルノーは今年初めて、コンストラクターズポイントを1ポイントも稼ぐことができなかった。しかし、シモンズは、これを機にタイトル争いのトップから陥落するような結果になることは絶対にないと主張した。
「マシンは週末を通して非常にコンペティティブだった。それだけに、リタイアに終わったことが余計に悔しい。だが、モナコ戦の後で優勝を果たしたように、今回も次のアメリカGPで優勝できると思っている」