キミ・ライコネンがヨーロッパGPでほぼ手中に収めていた勝利を失ったことをきっかけに、F1関係者の間では現在のタイヤルールの変更を求める声が上がっているが、ポール・ストッダートもこれに同調する発言を行った。
ブリヂストンユーザーであるミナルディのストッダートが、タイヤ交換を可能にするルール変更によって恩恵を受けることは確かだが、それは別としても彼は現在の状況が単純に危険であると主張している。ストッダートによれば、各チームがタイヤを限界まで使いきろうとした結果、さらに重大なアクシデントが起きる可能性は十分にあるという。
「日曜日にニュルブルクリンクで起きた出来事は、現在FIAが施行しているタイヤレギュレーションから考えれば完全に予測できたことだ」と、granprix.comはストッダートの発言として報じている。「今回のアクシデントは重傷や死亡にはつながらなかった。だが、どんな統括者であっても、タイヤに関するルール変更が安全性の見地から必要であるという意見が論理的でないなどとは主張できないはずだ」
「このレギュレーションは変える必要がある。もしこのまま変更されず、また別の、より重大な事故が起きた場合、誰が非難されるべきかは世界中のすべての人々にとって明白だ。つまりFIA会長以外の誰でもない。F1の10チームのうち9チームはこのレギュレーションを望んでいない。実際のところ、私たちはマックス・モズレーに対してF1のタイヤのワンメイク化を進めるように嘆願したが、彼とフェラーリがそれを拒否したのだ」
皮肉なことに、現在のタイヤルールによって最も大きな被害を被っているのは、他でもないフェラーリである。いまのところブリヂストンタイヤはミシュランよりも熱を発生するのに時間がかかるため、ミハエル・シューマッハーとルーベンス・バリチェロはワンラップ予選で大きなハンデを抱えている。そのため彼らは毎回中団グリッドからの戦いを強いられており、今季はチーム全体でわずか3回のポディウムを獲得するにとどまり、優勝は一度もない。
ストッダートらの主張に対して、FIAが採りうる選択肢は3つだろう。第一にルールを変更せず、チームに予選とレースを通じて1セットのタイヤを使用するというコスト削減策の継続を求めること。第二の選択として、使用本数を規制せず、レース中に3セットでも4セットでも使える以前の方式に立ち戻ること。そして最後に、その中間を採ってレース中に1セットのみ交換を認めるが、それは新品ではなく使用済みのセットでなければならないとする方法も考えられる。
しかし、規則がどのように変えられたとしても、勝敗を分ける可能性があるわずかなアドバンテージを求めて、チーム側はこれからもタイヤを限界までプッシュし続けることに変わりはないだろう。