今週末、母国で勝利を飾るというジャンカルロ・フィジケラの夢は、思わぬ“援軍”を得ることになるかもしれない。ルノーが予定よりも早く改良型のRS25Bユニットを投入する可能性があるからだ。
フェラーリがバーレーンでF2005を使ったように、どうしても改良型を投入せざるを得ない状況に陥っているわけではないものの、ルノーはイモラに少なくとも1基の新型エンジンを持ち込みたいと考えている。改良を受けたV10は、フィジケラをオーストラリアでの勝利に導き、それに続く2戦でチームメイトのフェルナンド・アロンソに栄光をもたらした標準型のRS25よりも軽く、そしてパワフルに仕上がった。
当初、このアップデートされたユニットは、来月バルセロナで投入される予定だった。しかし、フィジケラがバーレーンでリタイアしたため、エンジンを交換する機会が生まれ、さらにこのBスペックエンジンが初期のダイナモテストで優れたパフォーマンスを示したことから、今年のヨーロッパラウンドの初戦で彼らがこのユニットを使用するという決断を下す可能性が出てきた。
「2005年の私たちのアプローチとして、パフォーマンスに関係する開発部品はパッケージで導入することにしている。このBスペックエンジンは、一連の予定された進化の最初のものであり、当初はバルセロナで導入する計画だった」と、テクニカルディレクターのロブ・ホワイトは言う。「しかし、ジャンカルロがバーレーンでエンジントラブルに見舞われたため、この新しいスペックでのレースエンジンの組み立てを前倒しして、彼のマシンに積む機会が生じた」
「新しいレギュレーションの目的のひとつは、開発のペースをスローダウンさせることにあったが、その点では確かに効果があったと思う。実際、新しい部品を実戦に投入するのが以前より難しくなったし、そうした部品を使う機会も限定されるようになった。しかしながら、私たちはバルセロナではなくイモラでRS25Bを使うために、必要な段取りを省略するつもりはない。最終的な決断はダイナモテストの結果と、先週のポールリカールでのテストの詳細な分析の後に下されることになるだろう」
ライバルに対するリードを保つため、ここまで無敗を誇るR25シャシーに加えられる改良は、このエンジンだけではない。イモラではフィジケラとアロンソのマシンに新型のフロントウイングが取り付けられる。
「全体として、R25はイモラでも優れたパフォーマンスを見せてくれると思う」と、フィジケラのレースエンジニア、アラン・ペルマンは言う。「私たちはこのレースで新型のフロントウイングを使う予定だ。トラクションに優れ、エンジンが強力で、縁石を乗り越えるときの挙動がいいというR25の長所は、このサーキットにぴったり合っている。目標は今季4勝目を記録することだ」