ミハエル・シューマッハーは、モンツァテストの初日に行われた記者会見で、彼が引退を表明するだろうと考えていた関係者の予想を一蹴した。
歴史的なモンツァ・サーキットで来週末に開催されるヨーロッパラウンドの最終戦、イタリアGPに向け、F1関係者は準備に追われているところだったが、シューマッハーが記者会見を開くという知らせが舞い込んだため、当然のことながらさまざまな関心や憶測が沸き起こった。7度目のワールドタイトルを手に入れたのを理由に彼は引退を表明するだろう、そんな風に多くの報道関係者が想像していたからである。だが、シューマッハーは引退の意思など全くないと念を押しただけであった。
「僕が引退を表明すると噂されていたのを知っている。その期待を裏切ってごめんよ」。そう言ってシューマッハーは微笑んだ。「僕はまだ、レースで戦うのをやめない。そのために生きているし、その気持ちがあって自分がまだ十分に戦える間はレースを続けるよ」
もう成功することにも飽き飽きしているのではないか、と問われると、シューマッハーは栄誉の上に胡座をかいたりしないと答えた。
「正直、僕は決して過去を振り返らないんだ」と彼は説明を加えた。「いつも次の目標を決めて集中している。そして、次のゴールを明確にするために、シーズンオフがあるんだ」
シューマッハーは、まだ4レースを残しタイトルを獲得したことで、以前よりもリラックスしていると認めた。今シーズンは、彼にのしかかる責任はこれまでより軽かったように見えるが。
彼は今季のフェラーリのパフォーマンスについて語った。「僕たちはもっと厳しいレースがあると思っていた。だけど、はっきり言って、僕らは素晴らしい仕事をした」
さらに、「今シーズンは、間違いなく僕のキャリアの中でもベストシーズンだよ。これから先は、ドライブするのがもっと楽しくなるだろう。次のモンツァに始まってレースのひとつひとつ、戦術も考えずに集中できるのだからね」と語った。
こういった彼の発言に、ライバルたちはさらに脅威を感じるのではないだろうか。しかしシューマッハーは、フェラーリは2005年のマシン開発に集中し、今季中は基本的に今のままのマシンで戦うとも語っており、ライバルたちも少しは安心できるのかもしれない。
彼は「仮に(F2004に)変更があったとしても、微々たるものだよ」と認めた。
シューマッハーは、今週末にドイツのニュルブルクリンクで開催される「フェラーリ・レーシングデイズ2004」というイベントのゲストとして招かれる予定だ。彼は、日曜日に、昨年のタイトル獲得車F2003−GAで何周かデモ走行することになっている。