英国紙サンによると、ザウバー・チームの来季シートをめぐって、アンソニー・デイビッドソンとゲイリー・パフェットの英国人ドライバーふたりが、一騎打ちを繰り広げる見込みだという。
スイスを本拠地にするザウバーは、今シーズンいっぱいでルノー・チームに移籍するジャンカルロ・フィジケラに代わるドライバーを誰にするか、慎重に探している。同紙によれば、デイビッドソンとパフェットが候補に挙がっており、テストセッションに参加させて、どちらにシートを与えるかを決めようとしているという。
チーム代表のペーター・ザウバーは、若手ドライバーにF1のチャンスを与えることで知られている。2001年には、英フォーミュラ・ルノーに参戦していたキミ・ライコネンを採用した。翌年ライコネンはマクラーレン・チームへと移籍したが、今年は同年代のフェリペ・マッサを起用している。
そして現在も、ザウバーはフィジケラの後釜として若手ドライバーを探しているようだ。
ザウバーは以下のように述べたと伝えられる。
「アンソニーは(金曜日のテストで)速さを見せているし、また、ゲイリーもDTMで非常に良い仕事をしている。我々は経験豊富なドライバーよりも、若くて元気のあるドライバーを望んでいる」
確かに、デイビッドソンもパフェットも、今年彼らに与えられた役割を、きちんとこなしている。
今シーズン、デイビッドソンはホンダ・エンジンを積むBARチームのサードドライバーとして金曜日のフリー走行に登場しては、何度もトップあるいはそれに迫るタイムを出している。このパフォーマンスによって、来季のシートについてのウワサは多々ささやかれている。しかし、BAR代表のデビッド・リチャーズが、デイビッドソンのような将来有望なドライバーを手放すのかどうか、現時点では全く不明だ。予想どおり、ジェンソン・バトンが2005年にウイリアムズ・チームへ移籍するとしたら、なおさらの話だ。
一方DTMドライバーのパフェットは、ワークスのメルセデスベンツ・チームに今年から起用されるや、現在までに優勝3回を挙げ、ポイントランキング3位と、目覚しい活躍を見せている。また、上海の市街地で行われたエキシビションレース「ペトロナス・上海・インターナショナル・レースフェスティバル」でも優勝し、F1外のスターとして注目を集めるようになった。1999年にオートスポーツ・ヤング・ドライバー・オブ・ザ・イヤーを受賞したご褒美にマクラーレンをドライブしたこともあり、23歳のパフェットは、F1へのステップアップのチャンスがあれば、躊躇なく受けるだろう。
ザウバーの来季シートをめぐる候補者の中で、可能性がなさそうなのは、ジャック・ビルヌーブだ。
カナダ出身の1997年度ワールドチャンピオンは、BARで佐藤琢磨との交代を余儀なくされ、今シーズンはF1シートを失った。先週、彼がヒンウィルにあるザウバーの本社を訪ねたと報道されているが、若手を起用するというザウバーの姿勢から見て、ビルヌーブは選外であろう。
ビルヌーブと同様、今年度末にマクラーレンを去るデイビッド・クルサードも、採用される可能性はきわめて低いとみられる。