日曜日に行われたドイツGPで、2台のルノーは路面に落ちていた破片によってハンドリングが悪化するという不運に見舞われた。彼らのマシンにいったい何が起きていたのか、エンジニアリング担当エグゼクティブディレクターのパット・シモンズに聞いた。
Q:パット、今回は2台とも順調とは言えないレース内容でしたが、それでもチームとしては合計6ポイントを獲得しました。あなたにとってはどんなレースでしたか?
パット・シモンズ(以下PS):スタートからフィニッシュまで、いろいろと忙しかったよ。あれだけいろんな出来事があると、ピットウォールにいるこっちもひとつひとつに対応しなければならないから本当にたいへんだった。最終的には、両方のマシンにそれぞれトラブルがありながら、1台が3位に入ったのは悪くない結果だったと思う。
Q:フェルナンド(アロンソ)には何が起きたのですか?
PS:彼は右フロント前方の小さなバージボードを失った。そして、そのときは気付かなかったのだが、それが車の下に挟まって引きずっていたんだ。これはダウンフォースの前後配分にとんでもなく大きな影響を及ぼして、正常な状態からおよそ8%も後寄りになっていた。テレメトリーのデータから、本来路面に接するべきスキッドブロックの前側がまったく路面に触れていないことも分かっていた。スキッドブロックの温度が通常よりもずっと低かったからだ。つまり、そこに何かが挟まっていたということだ。だが、ある時点でそれが外れたらしく、突然すべてが元通りになって、フェルナンドのラップタイムも本来のペースに戻った。車が自分で自分を修理してしまうというのは、めったに見られることじゃないよ!
Q:フェルナンドのスピードは終盤に入って遅くなる一方にも見えましたが、実際にはそうではなかったということですね?
PS:フェルナンドは素晴らしい仕事をしたと思う。状態が悪いときは、ほとんどドライブできないと言ってもいいほどひどかったはずだからね。だが、彼はそれに素早く適応して、トラブルと戦いながら徐々にラップタイムを戻しつつあった。フェルナンドは完璧ではない車に適応する能力に優れていることを改めて証明してみせた。
Q:ヤルノ(トゥルーリ)についてはどうでしょう? 彼は第2スティントでのトラブル以降ペースを取り戻せなかったように見えましたが?
PS:最初のピットストップまでは、ヤルノも力強いレース運びを見せた。最初のピットストップを終えてコースに戻ったときには、フェルナンドの前に出る可能性もあったくらいだ。ところが、不運なことに彼はライコネンのマクラーレンが落としたリヤウイングフラップをヒットして、フェルナンドの場合と同じように、それが車の下に挟まってしまった。ヤルノの場合は、これがレース序盤に起きたのが最大の不運だった。まだ多くのライバルが彼の背後にひしめいていたんだ。そして、もう一度ピットに入ってきたときには、タイムとポジションを大きく落としていた。それでも彼はプッシュし続けて、トラフィックにつかまっていないときにはフェルナンドと比べても遜色ないラップタイムを記録していた。
Q:レースのスタート前、あなたはタイヤがキーファクターになると言っていました。レース中のタイヤマネージメントについては満足していますか?
PS:私たちはレースの前の週に長時間のテストを行った。どれくらいタイヤをうまく使えたかという観点から言えば、そのテストは無駄ではなかった。タイヤのマネージメントはとてもうまくいったよ。ホッケンハイムはとてもタイヤに厳しいサーキットだが、フェルナンドの2セット目に少しブリスターができたことを除けば、タイヤに関するトラブルはまったくなかった。