ドイツGPの週末、F1のパドックでは、来季のラインナップについて新たなウワサが囁かれはじめた。
フェラーリとマクラーレンは、2005年のドライバーラインナップを決定して久しいため、興味の中心は引き続きウイリアムズとルノーの両チームだ。ウイリアムズには、ふたつ空席ができることが確定しており、ルノーも、トゥルーリの離脱が発表されたことでひとつの空席が確定した。
今季、中堅チームでドライブしているマーク・ウエーバーとジャンカルロ・フィジケラが、ホッケンハイムではウワサの的になっていた。このふたりが、共にウイリアムズのシートを分け合うか、ルノーのシートをめぐって争うか、どちらかになるだろうというのだ。ウエーバーは、マネージャーのフラビオ・ブリアトーレがルノーチームを運営してはいるものの、ウイリアムズのシートのひとつを確保するだろうという説が有力だ。そうなると、フィジケラが、現在のところ最も注目される存在ということになりそうだ。
フィジケラはザウバーで確固たるパフォーマンスを見せており(2週間前のシルバーストンでも、グリッド最後尾から6位まで追い上げた)、消えたかと思われていた炎が再び灯ったようだ。このためフィジケラはドライバー市場のキープレイヤーとなっている。彼がウイリアムズ入りすることで、ついにトップチームでのチャンスをつかむだろうと考える者は多いが、逆に、ルノーと交渉していたという証拠を指摘する者もある。
フィジケラは、2年前に自分を放出したルノーチームと話し合いを持っていることを公式に認めているが、まだ何の契約も結んではいないし、当面その予定もないと主張している。
「僕は自分が2チームのリストで上の方に載っていることは知っているけれど、今のところ何も決まってはいないよ」と、フィジケラは、ロイター通信に対して語った。「僕はトップチームに行きたいし、将来は勝てるマシンに乗りたいんだ。今のところは、ルノーの方が速い――ルノーはウイリアムズより強いし、僕はチームの人たちのほとんどを知っているから、いいだろうね。ウイリアムズはちょっと苦しんでいるけど、盛り返す潜在力は持っているよ」
フィジケラはまた、ザウバーの可能性を完全に除外したわけではないことも認めた。ザウバーは、ジョーダンで失意の1年を過ごしていた彼を救い出し、トップチームへの希望を再び燃え立たせてくれたチームだ。
「ザウバーは素晴らしいチームだし、もう1年いてもいいかもしれない。ごらんのとおり、マシンのパフォーマンスは、今はずいぶんよくなったし、今回のレースと次のレースを見てから決断を下したいと思う。すべてのオプションは、8月半ば頃には決着がつくだろう。ということは、まだ1カ月近くあるということだよ」と、フィジケラは語った。
ウワサどおりフィジケラがルノーに戻ることになるとすれば、彼は、2003年にルノーからジョーダンに移った際にシートを交換させられたトゥルーリに代わって、再びシートを手にすることになる。トゥルーリは今年、モナコGPで優勝したことで、ブリアトーレのチームでの位置を不動のものとするのではと見られていたが、その後、活躍は下火になってしまった。フランスでは最終ラップで表彰台を逸し、シルバーストンでは大事故に見舞われた。