【未来のF1ドライバー候補紹介(4)ローソン】一貫性と適応能力をレッドブルが高く評価。2023年はSFタイトルを目指す
2022年12月19日
2022年の新たなF1規則により、各チームはシーズンに2回、F1昇格を狙うドライバーを金曜プラクティスで起用した。これは、テストの機会が非常に限られる状況のなかで、若手ドライバーにF1マシンに乗るチャンスを与えるために、F1が導入した規定だ。FP1ドライバーとして選ばれた彼らはどのようなキャリアをたどってきたのか、そしてFP1で実際にどういう走りを見せたのかを、F1ジャーナリストのクリス・メッドランド氏がレポート、各チームが最も期待をかけている若手ドライバーの将来性を探る。ニック・デ・フリース、ユーリ・ビップス、ロバート・シュワルツマンに続く第4回は、第14戦ベルギーGPと第20戦メキシコGPでアルファタウリ、第22戦アブダビGPでレッドブルからFP1に出場したリアム・ローソンに焦点を当てた。
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リアム・ローソンは、F1ベルギーGPでFP1初走行のチャンスを得た。FIA F2の2022年シーズン前半、思うような好結果を出せずにいたローソンにとって、そういうポジティブな形で後半戦をスタートできるのは非常に良いことだった。
ニュージーランド出身のローソンは ニュージーランドのフォーミュラカーレース、トヨタ・レーシング・シリーズで2019年にタイトルを獲得。2020年にはFIA F3でランキング5位、2021年にはFIA F2でランキング9位という成績だった。2019年からレッドブル・ジュニアチームに加入しており、2021年にはレッドブル・AFコルセからDTMドイツツーリングカー選手権に参戦、ルーキーでありながら、タイトル獲得まであと一歩のところまでいった。
2021年DTM最終ラウンドにランキングトップで臨んだローソンだったが、レース2でタイトル争いのライバル、ケルビン・ファン・デル・リンデに接触された影響で3ポイント差でタイトルを逃した。
ローソンは、適応するための時間をほとんど取れないままにDTMに参戦したにもかかわらず、経験豊富なドライバーたちを相手に、最後まで素晴らしい戦いを見せた。それまで乗っていたマシンとは異なるタイプのマシンで、すぐさまトップ争いをしてみせ、その多才さでヘルムート・マルコとレッドブルに強い印象を与えた。大きな期待を担ったローソンは、ユーリ・ビップスが差別的な発言をしたことで外された後、レッドブル・ジュニアのなかでトップの存在となった。
2022年、ローソンはFIA F2に参戦するとともに、レッドブルとアルファタウリのリザーブドライバーの役割を任された。ベルギーGPでのFP1出走のチャンスを手に入れたのは重要なことだった。2022年型マシンで経験を積むことができるからだ。
この時、ローソンはピエール・ガスリーのアルファタウリで走行。セッション序盤には速さの片鱗と非常に堅実なパフォーマンスを見せたものの、ケビン・マグヌッセンが残り20分のところでコース上でストップし、赤旗が出たために、後半にソフトタイヤで走る機会を失った。セッションは再開されたが、典型的なスパウェザーにより、小雨が降り、トリッキーなコンディションになり、タイムを更新することはできず、19番手にとどまった。
ベルギーの時点で、アルファタウリの2023年ドライバーラインアップは確定していなかったが、ローソンが2度目のFP1走行を果たすメキシコGPの時点では、角田裕毅の契約延長、ガスリーのアルピーヌ移籍に伴うニック・デ・フリース加入が決まっていた。つまり、ローソンが2023年にF1に昇格する可能性はなくなっていたわけだ。
ローソンには不運な面もあった。デ・フリースは、モンツァでアレクサンダー・アルボンの代役として予選とレースに出場し、ポテンシャルを証明するチャンスを得た。それがF1デビューへのチャンスにつながったのだ。この週末のウイリアムズは競争力が高く、デ・フリースは、予選で好結果を出して、他者のペナルティでトップ10圏内からスタート、オーバーテイクが難しいコースで入賞を果たした。その活躍にいくつかのチームが注目し、2023年レギュラードライバー候補とみなされるようになった。だが、ローソンには、レースでのポテンシャルを披露できる機会はなかった。
それでもローソンは、メキシコでFP1で走行した際に優れたパフォーマンスを発揮してみせた。ブレーキトラブルのために走行を切り上げなければならなかったが、ルーキー勢トップの16番手となったのだ。
ローソンが優れた一貫性を示したことで、アブダビのFP1ではレッドブルのマシンを託された。これは、彼がチームから求められたことをすべてしっかりこなし、リザーブドライバーにふさわしいと認められていることの証だ。
「マックス(・フェルスタッペン)のマシンに乗るというのは非常に大きな責任を負うことだが、リアム・ローソンはルーキーにもかかわらず非常に良い仕事をしたと思う」とレッドブル代表クリスチャン・ホーナーは後に語っている。
2022年のローソンは、カーリンでF2タイトルを狙って戦うことが期待されていたが、シーズン中間の時点では、チームメイトのローガン・サージェントほどの成績を挙げていなかった。しかし最終的には4勝を挙げて、ランキング3位を獲得、非常に良い形でシーズンを締めくくることができた。
ローソンは、究極の目標、F1参戦に向けて戦い続ける。2023年には全日本スーパーフォーミュラ選手権にTEAM MUGENから参戦することが決定。目標はチャンピオン獲得であると明言した。2023年にはスーパーフォーミュラに集中するローソンだが、一方で引き続きF1ではFP1走行の機会が与えられるかもしれない。
(Chris Medland)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 393 |
2位 | ランド・ノリス | 331 |
3位 | シャルル・ルクレール | 307 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 262 |
5位 | カルロス・サインツ | 244 |
6位 | ジョージ・ラッセル | 192 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 190 |
8位 | セルジオ・ペレス | 151 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 593 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 557 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 544 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 382 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | BWTアルピーヌF1チーム | 49 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
8位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 44 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |