14日、シルバーストンにて6チーム11台によるF1合同テストが行われた。この日、山本左近がジョーダンから参加し、初のF1ドライブを体験した。
前日、BARホンダのアンソニー・デイビッドソンがテストを行ったジョーダンだが、この日は日本GPでサードドライバーを務める山本左近に、その準備を兼ねて、初めてF1マシンをドライブするチャンスを与えた。山本は、マシンとサーキットを学びながら73周を走行、タイムは1分23秒514で11番手となった。
テスト2日目のこの日、トップタイムをマークしたのは、ルノーのフェルナンド・アロンソ。ルノーは、ブラジルGPには、R25に様々な微調整を加えて投入すると見られている。アロンソはそのマシンで111周を走りこみ、曇り空のもとで1分17秒018をマークし、初日のタイムをわずかに更新した。
2番手はマクラーレンのテストドライバー、アレクサンダー・ブルツ。日本GPに向けたミシュランタイヤのテストに専念しながら、MP4-20Aで114周を走りきった。
3番手には、レッドブルのビタントニオ・リウッツィが入った。今季はレース出場の機会はないというニュースに奮い立ったのか、ブルツからわずか0.005秒差と健闘している。リウッツィは、今季残り3戦(ブラジル、日本、中国)に向けた準備作業を進めた。その3戦の出場権を獲得した僚友のクリスチャン・クリエンは7番手で、リウッツィから1秒以上離されている。
GP2のタイトル獲得を狙うルノーのテストドライバー、ヘイキ・コバライネンに代わってテストに合流したジャンカルロ・フィジケラが、4番手に入った。フィジケラは、コンストラクターおよびドライバーの両チャンピオン獲得の手助けをしつつ、自身も表彰台に返り咲くべく、ブラジルGPとそれ以降のレースを睨んで準備を始めた。彼は、1日のほとんどを最新スペックのルノーV10を積んだマシンで、周回を重ねている。
TF105のBスペック投入を検討するトヨタ。残り3戦で大幅な改良が加えられたBスペック投入というのは、普通に考えれば遅すぎるだろうが、2006年に向けた開発アイデアを発展させるべく、思い切った決断を下すかもしれない。この日、5番手に入ったラルフ・シューマッハーがドライブしたのは、ブラジルGP仕様のレギュラーマシンだったが、テストドライバーのオリビエ・パニスは2日続けてV8エンジンのマシンをドライブし、シューマッハーから約コンマ5秒遅れの9番手だった。
6番手はウイリアムズの若手テストドライバーのひとり、アントニオ・ピッツォニアで、僚友のニコ・ロズベルグは8番手だった。レギュラードライバーのニック・ハイドフェルドが、次戦、あるいは残り3戦全てを欠場するかもしれないため、テストドライバー同士がマーク・ウエーバーのパートナーの座をめぐって争いを繰り広げる場面が見られることになりそうだ。とはいえ、ロズベルグは、ライバルであるコバライネンとのタイトル争いが懸かったGP2最終戦バーレーンが目の前に控えており、ピッツォニアがブラジルGPのグリッドに着きそうな気配だ。この日のふたりは、ピッツォニアが34周、ロズベルグが61周をこなし、ふたりともがセットアップ作業とスタート練習に取り組んでいた。
10番手は、この日で2日間のV8エンジン搭載車用プログラムを終えたマクラーレンのテストドライバー、ペドロ・デ・ラ・ロサ。デ・ラ・ロサは、走行してはすぐにガレージに戻るという繰り返しで、その間にエンジニアがデータ解析やセッティングの変更などを行っていた。同チームのレポートによれば、1日を通して着実に前進しており、スケジュールは滞りなく終わったという。
「2日間のテストはうまくいったよ」とデ・ラ・ロサ。「もちろん、メルセデスエンジンのV10とV8ではパワーの違いが歴然としている。でも、ドライビングスタイルを少し変えることで、適応可能だろうね。僕らは現在、(V8を)急激に学んでいるところで、まだ日は浅いけれど、今のところは全てが順調だよ。それに、冬の長いテスト期間が控えており、この際に開発プログラムの続行が期待できるだろう」