ミハエル・シューマッハーはレースが行われている最中にサーキットを後にする人間ではない。通常はその時間は戦いの最中にいるからなのだが、先週日曜のベルギーGPでは、‘できるかぎり早く忘れたいレース’だと弁明をして、立ち去った。
スパでの早々のリタイアは、前向きな世界チャンピオンにとっても大きな一撃となった。低迷するシーズン中にあって期待を賭けたレースだったにもかかわらず、序盤のリタイアを強いられ、この原因となった事故について、駐車場に向かいながらまだ不平をもらした。
「このシーズン中で、できるかぎり早く忘れようと努めるに違いない瞬間のひとつだ」と言明するシューマッハー。「最初は頭にきても、僕ならきっとすぐに忘れるはずさ。しかしそれにしても、全く無意味なアクシデントでレースを終える羽目になるなんて、本当に馬鹿げている……」
一晩明けて再び同レースを振り返ったシューマッハー。スパはこれまではずっとツキに恵まれてきたサーキットであり、ここではフェラーリをポイント圏フィニッシュさせられる絶好のチャンスがあったと語り、レース終盤に事故が重なったことからも、より良い結果が望めたはずだったという。
「まさにスタートから、レースは望んだようには進んでくれなかった。希望ではスタート直後に雨が降ってほしかった。そしたら僕らも上位に上がれるはずだったんだ。だがあいにく雨も全く降らなかったし、レースは予想外の方向に進んでしまった」
「でもポイントは取れていたはずだったと確信しているし、モントーヤの事故を考えると、さらに上を望めたかもしれないと思う。しかし‘たられば’を言ってもしょうがない。僕らの一番の目標は、より競争力を発揮することだったが、今回もそれができなかった。僕らはよくやったと思うけれど、十分ではなかったね。正常な天候なら、僕らにチャンスはなかっただろうが、ウエットでもそううまくはいかなかった」
F1シリーズはこの後ブラジル、日本、中国に向かう。フェラーリ監督のジャン・トッドもチームのリザルト改善を望むという発言をすでにしており、シューマッハーはベルギーのことは早々に忘れ去られるだろうと話す。
「シーズン最後の3レースに向けてチームのパフォーマンスを改善するために、僕らは本当に最善を尽くさなければならない。あとはとにかく目標に焦点をしぼって集中していくだけだ」