その瞬間をカメラは捉えていなかったが、ベルギーGPでヤルノ・トゥルーリがティアゴ・モンテイロの後を走っていた時、突然モンテイロが失速、トゥルーリはモンテイロのマシンに突っ込み、リタイアした。
モンテイロのマシンに接触後、タイヤバリアに突っ込んだトゥルーリは、特に問題を抱えていなかっただけに、モンテイロに対する怒りをあらわにした。一方、上位チームのドライバーに絡むアクシデントがこれで今季3度目となるモンテイロは、そのまま完走し、8位に入りポイントを獲得した。
トゥルーリはクラッシュネットに対し、次のように語った。
「何が起こったか分からない。でも、モンテイロいわく、誤ってピットリミッターボタンを押してしまい、コーナーの途中で80km/hまでスピードが落ちてしまったんだってさ! 僕はそのまままっすぐ彼のリヤに突っ込んでしまった。どうすることもできなかった」
不思議なことに、ジョーダンチームがアクシデントに関するデータをスチュワードに提出すると、スチュワードはモンテイロに責任のあるミスではなく、単なる失敗とし、モンテイロはお咎めなしに終わった。
トゥルーリのレースは、セーフティーカー導入時にタイヤ戦略を誤ったため、すでに絶望的な展開となっていた。彼以外のほとんどのドライバーは、一旦ドライタイヤに交換した後、すぐに元のタイヤに交換し直したが、トゥルーリはドライタイヤで他のドライバーより1周多く走り続け、大幅にロスする結果となった。
「僕はずっと、インターミディエイトにしたいと何度も要求したのだが、フィジケラのアクシデントの後も、チームはスリックで行き続けると判断したんだ。あれは間違った選択だった。僕は、このままセーフティーカーの後をドライブし続けるわけにはいかないと言ったのだが、結局チームは僕をセーフティカーの後で2ラップも走らせ続けた。その後、ようやくピットに入ったのだけれど、もはやレースは終わったも同然だった。僕の前のドライバーとすでに50秒も離れていたからね。それでも、僕は8、9番手あたりまで上がったんだけれど、その矢先にアクシデントさ。運が悪かったとしか言いようがない」