F1世界選手権は、今週末から北米2連戦に入りる。まずは、カナダのモントリオールだ。2005年開幕からまだ負けを知らないミシュランは、昨年10月のブラジルから続く9連勝を目指す。今シーズンのミシュラン勢は、ここまで7連勝で、21の表彰台順位のうち18を確保。56のトップ8順位のうち49を占め、獲得可能な273ポイントのうち242ポイントを手中におさめている。
カナダGPは1967年に初開催され、途中の2シーズンを除いて毎年カレンダーに加わってきた。今年で37回目になり、モントリオールでは27回目となる。モントリオール以前は、145km北のモントランブランで2回、オンタリオ州のモスポートパークで8回開催されたことがある。
サーキットの正式名称は、伝説的カナダ人F1ドライバー、ジル・ビルヌーブにちなんでいる。1978年10月8日にこの島で初開催されたグランプリで、彼はミシュラン装着のフェラーリ312T3を駆って優勝しました。1981年ジャック・ラフィ(リジェ・マトラ)、1984年ネルソン・ピケ(ブラバムBMW)、2001年ラルフ・シューマッハ(ウイリアムズBMW)も、ミシュランタイヤによるカナダGP優勝者です。昨年のミシュラン勢最上位はジェンソン・バトン(ラッキーストライクB・A・Rホンダ)で、3位でした。
ピエール・デュパスキエ(ミシュラン・モータースポーツディレクター)
「モントリオールもF1カレンダーには多いタイプのサーキットで、高速のストレートと、タイトコーナーと、ヘビーブレーキングの連続だ。シケインを抜けるときは比較的低速で、80km/hから120km/h程度になるから、長いストレートへの脱出速度を上げるにはトラクションコントロールの最適設定が大切だ」
「高速コーナーがなく、フル加速を頻繁に繰り返すことから、リヤタイヤのパフォーマンスが大きな比重を占める。気温が高くなればそのストレスも増加する。過剰なホイールスピンは摩耗が加速するので厳禁なのさ。この現象に対処するため、パートナーチームに供給するタイヤは、サイドウォールの構造をかなり強化してあるがね」
「モントリオール・サーキットは昨年のレース以降、全面再舗装された。私たちのエンジニアはすでに路面を調べているが、そのデータによると、アスファルトの摩耗性はそれほど高くなさそうだ。とはいえ、完全に新しくなって、まだ1台もレーシングカーが走っていないのだから、週末の間に路面コンディションは大幅に変化すると考えられる。これは敷設したばかりの路面に起きる化学変化が原因で、予測は不可能だ」
マーク・ウェバー(BMWウイリアムズF1チーム)
「モントリオールの性格は市街地コースに近く、レース週末の初めはとても埃っぽい。低速コーナーからの脱出でグリップを最大限に使ってフル加速する、いわゆる“トラクションイベント”も多い。トラクションコントロールの設定とサスペンションジオメトリーを適切に決めて、タイヤに過剰な負担がかからないようにすることが大事だ。とくに今年は1セットのタイヤでレース距離を走りきらなくてはいけないからね。ほとんどのコーナーは低速だけど、そこへの進入はかなりのハイスピードで、減速プロセスではタイヤのパフォーマンスが重要な鍵を握る。ブレーキングでのスタビリティを確保するには、しっかりしたフロントタイヤが必要だ」