コスワース・レーシング代表のケビン・カルクホーベンは、レッドブルが来季に向けてコスワースからフェラーリエンジンへの乗り換えを決めたやり方に激怒しているという。
カルクホーベンとコスワースの役員たちは、レッドブルのチームマネージメントと将来について話し合うために、プライベートジェットでイモラへ飛んだ。ところが、土曜日に到着してみると、パドックは、レッドブルが2006年からフェラーリと契約するとのニュースでもちきりだった。この契約は、イモラで第1予選が開始されると同時に、チームとマニュファクチャラーの双方からプレスリリースで発表されていたのだ。
コスワースは、自社の契約が1年限りのものであることは承知していたし、チームが他の選択肢を検討していたことも知っていたが、この仕打ちには立腹している。コスワース側は、イモラへ出向くことに意味があるかどうか、チームにあらかじめ問い合わせていたため、この事態には唖然とした。
アレックス・シュナイダーがオーナーを務めるミッドランドチームは、かつてフェラーリのオプションを持っていたが、それは3月31日で失効した。その価格が、トヨタの提示額と比較してあまりにも高額と判断されたためではないかと考えられている。
レッドブルとフェラーリが契約したことから、最近「9チーム連合」がボイコットしたFIAの会合にレッドブルチームが出席した件について、必然的に憶測が生まれている。(この会合にはミッドランドチームも出席した。)また、マックス・モズレーとレッドブル代表のディートリヒ・マテシッツが親しい点を指摘する声もある。とあるパドック関係者によれば、フェラーリとの契約は、「マックスとマテシッツが2週間前にスキーのゲレンデでまとめたのだろう」ということだ。
皮肉なことに、最新型のコスワースV10は、これまでのものよりはるかにパフォーマンスが上がっており、今季開幕から3戦連続でポイントを獲得した。コスワースはすでに2006年型のV8の設計に入っているが、現段階ではそれを使用するチームは存在しない。ポール・ストッダートは金曜の晩に、来季の“安価な”代替案として、制限付きのV10の使用を考えていることを明らかにした。そうなると、コスワースの新エンジンを使う可能性があるのは、ジョーダン/ミッドランドかザウバーだけということになる。ザウバーは、BMW陣営に加わることがほぼ確実であるため、ミッドランドだけが唯一の現実的なオプションなる。ただしそれは、トヨタとの契約を継続しなければ、ということだが。同チームは、今週末にコスワースと会合を持つ予定だ。