バーレーンGPで、デイビッド・クルサードは、レース終盤、ジャック・ビルヌーブに接触、8位1ポイントを奪い取った。クルサードは、レース後、ビルヌーブに謝罪、入賞により得たボーナスの一部を提供しようと申し出た。
このふたりは共に、チーム側と獲得ポイントに応じてボーナスを得る契約を交わしている。そのため、ビルヌーブは彼のパフォーマンスに問題がないことを周囲に示すためだけでなく、彼自身の収入を得るためにも、8位フィニッシュという結果が必要だった。だが、8位をクルサードに奪われるという顛末となり、ビルヌーブは怒り狂っていた。
レース後、クルサードはビルヌーブのもとを訪れて、彼がポイントを取り上げてしまう結果になったことを詫び、さらに彼のボーナスの一部を提供しようと持ちかけた。ビルヌーブはクルサードの申し出を断ったが、ふたりは帰宅するために同じフライトに乗り込み、長い間、問題のアクシデントについて語り合ったようだ。
カナダ出身のビルヌーブは、クラッシュネットに対して次のように語った。
「あのレースは楽しかった。突然、僕は思ったよ。『8位入賞できたら最高だ』ってね。でも、悲しいことにデイビッドも同じことを考えていて、一か八かトライしようと、気軽に行動を起こしたようだ。結局、彼は僕をはじき出してしまった。世の中、そんなものさ」
「ふたりとも、もともとポイントを獲得できるとは思っていなかったのに、いきなり8位入賞が可能な状況になったんだ。僕はあと1周あればよかったんだけどね。でも、僕だって思いがけず誰かをはじき出してしまうことがある。それもレースの一部、アクシデントだからね。もちろん今は腹立たしく思っているけど、レース後なら当たり前の話だ。ただ、僕らはふたりとも、のどから手が出るほど8位に入りたかった」
ビルヌーブは、ザウバーのマシンのフィーリングは以前より良くなってきたと語り、サンマリノGPの行われるイモラでは、より良い結果が得られるのを期待している。
「レースの間中、ずっとハードにドライブできたし、マシンの中でも随分と居心地よく感じられたんだ。バルセロナで2日間のテストを行う予定だから、かなり改善を進められるはずだ。たくさんのエアロパーツとタイヤをテストするしね。できることなら、セッティングに必要な時間を十分に取れたらいいね」