FIAのマックス・モズレー会長は、自分がF1カレンダーを決めるとすれば、イギリスやフランスのような、いわゆる伝統のあるイベントは毎年スケジュールに入るだろう、と述べた。
日本GPの週末にモズレーがジャーナリストらに語ったところによると、1950年にF1が始まって以来毎年のように世界選手権のカレンダーの中核をなしてきた伝統のレースについては、モズレーも愛着を感じているという。とはいえモズレーは、歴史があるというだけの理由でイベントを開催していくことはできない、とも指摘した。
この発言は、先週シルバーストンでのイギリスGPの将来について、また議論が沸騰した後に出されたものだ。その議論は、予期せぬ方に展開している。イギリスGPは、バーニー・エクレストンのフォーミュラワン・マネージメントが要求する金額に応じられなかったことを理由に、10日ほど前にカレンダーからの脱落を宣告された。そのため、イベントの主催者であるブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ(BRDC)は、さらなる政府の援助を求めてロビー活動を開始していた。
この嘆願が功を奏さなければ、すぐにシルバーストンが復活することはなさそうだが、先週後半にブランド・シナジーという共同事業体(1992年のワールドチャンピオン、ナイジェル・マンセルを表看板にしている)が、レースを主催するというオファーを行った。このオファーは、エクレストンもBRDCも共に考慮しているようで、エクレストンはそれに対抗して独自のオファーを行った。今後7年間シルバーストンを無料で使用するのと引き替えに、エクレストン自らイギリスGPをプロモートしてもいいというのだ。
モズレーは、この動きには直接関わっていないが、意見を求められどちらの立場にも理解を示した。
「私の願いとしては、シルバーストンはカレンダーに残ってほしい」と、モズレーはうち明けた。「伝統あるレースが残ることは、私にとって大切なことだ――しかし、何が何でもそうする、というわけにはいかない。伝統を守るというだけの理由で、バーニーに採算のとれないイベントを運営させることはできない。しかし、妥協点は見つかるだろう。それはモータースポーツの根幹をなす一部だからだ。私はレースが行われることを望んでいるが、解決策を見出すのはバーニーとシルバーストンの役目だ。フランスやイギリスのようなレースがなくなれば、このスポーツの重要な要素が失われはじめることになる」
モズレーのコメントは、多くのドライバーたちの支持を得ている。ドライバーたちは、モンツァ、スパ、シルバーストンのような伝統のコースと、マレーシア、バーレーン、中国のような近年建てられたハイテク施設、その両方を混ぜ合わせたカレンダーにしていくのが最良だと考えている。