F1の商業面を握るバーニー・エクレストンは、各チームに対して、現行の1周アタック方式の予選を今季いっぱい継続するとした決定をくつがえすように求めた。
この決定自体すでに、悪評高い現行のシステムを廃止するとした、当初の合意を完全にくつがえしたものだったが、フランスGP前に予想に反して採択された。しかしエクレストンは、今週末のイギリスGPまでに、解決策が見つかることを期待している。
エクレストンは、全10チームに対して書簡を送り、現行の予備予選−本予選のシステムに代えて、2回のオープンセッションで合計タイムを競う新しい予選システムを採用することを再検討してほしいと求めた。この変更案は、アメリカGPでのチーム代表の会合で、下位チームのミナルディとジョーダンが異を唱えたため、否決された。
ミナルディのポール・ストッダート代表は、特に次のような懸念を抱いていた。第一に、自チームの2台のマシンが、テレビに映ることを保証されないこと(これは、彼が2003年に1周ずつの予選システムに賛成した主な理由だった)。第二に、107%ルールの復活が予想されるため、遅すぎるマシンは予選落ちすることになり、自チームの決勝出場に影響しそうなことだ。エディー・ジョーダンは、スポンサーのベンソン&ヘッジズから、現行のシステムの存続に関して圧力をかけられているようで、ミナルディと同じ側にまわった。
英デイリー・テレグラフ紙によれば、エクレストンはチーム代表らに対して期限を設け、火曜日のうちに決断を下すようにと促した。エクレストンの主張によると、複雑な合計タイムを算出するためのコンピュータ・システムはすでに稼働しており、今週末にも新しいフォーマットを開始することが可能なのだという。
エクレストンは同紙に対して、次のように語った。「全チームが新しい契約に調印したのに、後になって2チームが反対にまわった。私は彼らにこう言ったんだ。『大人なんだから、(支持するつもりがないなら)サインすべきじゃなかったんだ――おかげで、我々はみな恥をかいたじゃないか!』
エクレストンは、1周アタックのシステムの反対者として知られている。特に、今年のメルボルンから導入されたシステムが関係者全員にとって退屈なものであると判明してからは、このシステムに反対している。彼は以前からずっと、グリッドの決定に積算タイムを使用するというアイデアを提唱してきた。ただしそれは、2度のセッションを連続して行うのではなく、最初のセッションを金曜に行い、次のセッションを土曜に行うというものだった。彼はまた、予選に関する議論で、もっと過激な案も出している。グリッドを逆順にするとか、くじ引きでスタート順を決めるとか、最速タイムにポイントを与える、などといったものだ。
「それは、いくらか見せ場を増やしてくれるだろう。フランスの予選は(今季のほかの予選と較べれば)マシな方だったが、実のところ、誰も前半(プレクオリファイ)は見たくないだろう。そこが問題なんだ」と、エクレストンは述べた。