2004年FIA F1世界選手権第6戦モナコGPのため、ラッキーストライクBARホンダは、大富豪たちの町モンテカルロに向かう。
チーム代表のデイビッド・リチャーズは、次のように述べている。「去年の今頃だったら、バルセロナでの2台揃ってのポイント獲得は、いいリザルトだと考えたかもしれない。少しガッカリした気持ちでスペインを後にしたということで、私たちがいかに進歩したかが分かるね」
「とはいえ、ドライバーが2人とも手堅い結果を残せたおかげで、私たちはコンストラクターズ3位の座を守ることができたし、ジェンソンもドライバーズランキング3位に留まっており、しっかり今季の目標に向かっている。間違いなく、私たちは表彰台に乗るのが当然と感じるようになっているし、モナコもその例外ではない」
モナコGPは、ジェンソン・バトンにとってホームレースも同然だ。彼はモナコで、フリータイムのほとんどを過ごしているからだ。去年、彼の週末は、スリリングな形でスタートしたが、ヌーベルシケインでの事故で、あっけなく劇的な幕切れを迎えてしまった。
バトンは次のように語った。「モナコは、他のどのサーキットともまったく違う。大きなバリアにぐるりと取り囲まれているのに、とても速い――バリアがコースにすごく接近しているから、ドライブしていて一層速く感じるんだ。ミスを犯す余裕はないし、だからこそ、いいラップタイムを記録しているのを見ると、他人より余計に時間がかかる者もいるんだ」
「当然ながら、マシンで長距離を走り込んでおくのがとても大切になるから、アンソニー(デイビッドソン)が木曜の走行で多くの周回を重ねてくれるのを期待している。僕の好きなサーキットだし、僕らはあそこでとても強力だと思う。フェラーリはもちろん相変わらず優勢だろうけど、いい成績を出して表彰台に返り咲けたら嬉しい。特に、僕は去年はアクシデントに遭ってしまったからね。全体としては、本当に楽しみだよ」
一方、佐藤琢磨もモナコをとても楽しみにしている。彼が初めてF1でモナコを走ったのは、2002年にジョーダンチームでのことだった。
琢磨はこう語る。「モナコでレースができるということで、とてもワクワクしている。これはカレンダーの中でも、特別なグランプリだ。あそこでレースをするのは2002年以来のことなので、あれから行われたサーキットやパドックの改修がどんなふうになっているのか、とても興味がある。バルセロナでいい週末が過ごせたから、今度のレースに向けてもすごく期待が持てると思うし、個人的にも楽しみだ。ポール・リカールでテストをしてきたけれど、あそこで行った開発作業が、いい弾みになってくれることを期待しているよ」
ここはBARホンダ006によく合っているサーキットで、今年、チームは引き続きいいレースができるだろうと楽観視している。目標は、今回もまた2台共にポイントを獲得することで、できれば、トロフィーをまたひとつコレクションに加えたいと願っている。
ホンダ・レーシング・ディベロップメントの中本修平エンジニアリング・ディレクターは、次のように総括した。「マシンのハンドリングとドライバーの技術が、モナコでのチームのパフォーマンスに大いに貢献するが、私たちとしても、BARホンダにアドバンテージをもたらすために、エンジンにできる限りのことをしようとしている。ポール・リカールでは、よりパワフルなユニットをテストしたし、今回のレースの週末に向けて、いつも通り上を狙っていくつもりだ」