ミナルディのボス、ポール・ストッダートは「F1エンジンはいつまで経っても高価だ」と愚痴をこぼしているという。このニュースを伝えたのはGrandprix.comで、その記事によれば様々な努力が行われたにも関わらず、F1エンジンの開発費を1000万ドル(約11億円)以下に抑えることはできていないことにストッダートは不満であり、チームの維持が困難であると訴えているという。
ストッダートは、このような状態が続くならばプライベート・チームへの安価エンジン供給と引き換えにトラクション・コントロール(TC)の継続を支持するとした投票を取り消す、としている。結局のところ今シーズンのレギュレーションでは、TCが継続している一方で、プライベート・チームへの安価エンジン供給はメーカーの反対で実現していない。
TCは、スタートやコーナーの立ち上がりなどでアクセルを踏みすぎた場合等に起きるタイヤのホイール・スピン現象を電子制御で抑制する機能のこと。TCによって、マシンは効率良くエンジンパワーを路面に伝えることができる為、より均衡したバトルが実現できるとされているが、見方によってはドライバーの技術が関係なくなると考えられ、毎年その是非が議論されている。TCは1994年に禁止され、その後2001年復活を遂げるという複雑な歴史を持っている。
ストッダートが行動を起こせば、複雑で費用のかかる法的問題に発展する可能性がある。コンコルド協定では、ルール変更には絶対的な賛成が必要なのだ。
「ロン・デニスによれば、もしトラクションコントロールが禁止になれば、デザインおよび開発に数千万ドルもの費用がかかるということだ」とストッダート。
「私はメーカーたちがエンジンの費用削減を助けてくれると信じたから、システム継続支持の投票をしたんだ。彼らは記憶をどこかに飛ばしてしまったのではないか。こんなのはビジネスじゃない。まさに今、チームが潰れそうだとかそういう危機ではないが、いつまでもエンジンにばかり金がかかる状態だと、マシン開発に割く財源がなくなってしまうよ!」