「金曜日の夜、ルーティンワークでパワーユニットのチェックをしていたところ、私のパワーユニットに問題が生じていることがわかった。すぐ交換しなければならないほど深刻ではなかったが、レースを走り切れる保証がないことから、土曜日の朝にパワーユニットの交換作業を行うことにした。いま4基目のICEを投入しているところだ。カナダで4基目を使うということは、今シーズン中に5基目を使うのは間違いない。おそらく6基目まで行くだろう」
カナダGP土曜日の朝、サーキット全体がフリー走行3回目の準備に追われる中、レーシングスーツに着替えず、チームウェアでフィジオたちとガレージ裏で立ち話していたフェルナンド・アロンソは、こう言ってスーツに着替えていない理由を説明した。
フリー走行3回目の時点で、アロンソのパワーユニットに関してチームからの発表はなかった。しかしアロンソの言葉から、問題が起きたのはトークンを使用したと考えられるターボチャージャーもしくはMGU-Hではないということはわかる。今回カナダGPにホンダが新たに投入したターボチャージャーとMGU-Hは4基目であり、もし交換したコンポーネントに含まれていれば、アロンソは10グリッド降格となるからだ。つまり、問題があったコンポーネントは4基目となるICEと予想される。
アロンソは「フリー走行3回目を走ることはないだろう」と語っていたが、セッション残り12分でコースイン。だが、直後に今度はチームメイトのジェンソン・バトンがコース上でストップしてしまった。マクラーレン広報によれば「ジェンソンは『パワーを失った』と言ったあと『マシンを止める必要がある』と言って、コース脇で止まった」という。調査の結果、ERS関連のトラブルだったことが判明、予選に向けてパワーユニットの交換作業に取りかかったが、予選までに作業を終えることができず、バトンはQ1に出走することなく予選を終えた。
カナダGPでもマクラーレン・ホンダは立て続けにトラブルに見舞われている。しかし、アロンソに焦りはない。
「私たちの計画はチャンピオンになるという壮大なもの。最初から時間がかかることは覚悟している。だから、こんなことでモチベーションが失われるようなことはない」
(尾張正博)