キミ・ライコネンは、世界チャンピオンとなっても新聞の見出しには彼の名ではなく、彼のライバルたちの名前ばかりが挙がり続ける状況だが、かえって静かな生活を送れて嬉しいと語っている。
もっともそのコメントには、世界中のタブロイド紙の好みに対する彼なりの皮肉もかなり込められてはいるが、ライコネンは、タイトルを取っても彼の周囲に変化はないと語っている。
タイトル争いの本命と目されていたマクラーレンのルイス・ハミルトンとフェルナンド・アロンソがいがみあっている間に、彼らから選手権を奪い取るという波乱万丈のシーズンが終わっても、彼は身を潜めて静かに過ごすことができている。
「タイトルを取っても僕の生活は変わっていないけど、ずっと夢見ていたことが現実になったのは嬉しいよ」ライコネンは、英デイリーメール紙にそう語っている。
「数々の賞を獲っているルイス・ハミルトン、僕らとテストしているミハエル・シューマッハー、あるいはフェルナンド・アロンソの移籍先などばかりが注目を浴びていても、僕はそれでも満足だ。僕は快適で静かな生活を送れるからね。それに僕は、そういった彼らみんなが間違いなく望んでいたであろうトロフィーを獲得できたんだしね。どんな他の賞よりもこの世界タイトルを僕は欲しかったんだ」
シーズン最終戦のブラジルGPで発生した“燃料温度の違反”の一件があり、彼の王座が確定するまでいささか時間がかかったが、最終的にタイトルを手にすることができ、ライコネンは喜んでいる。
だが今はすでに彼の視線は来季に向けられている。自身の2度目のタイトルをフェラーリとともに獲得することを彼は目指す。しかしその一方でアロンソが2009年にフェラーリに加入するのではとのウワサも流れている。
「僕はその時、フィンランドの自宅かスイスにいたと思う」マクラーレンの控訴の結果を聞いた時のことをそう語っている。
「確かメッセージが送られてきたんだ。いずれにせよ良い結果となることを予想していた。だから裁定が出ても僕の気持ちはそう変わらなかったよ。その結果を僕は喜んでいるけど、今はもう一度タイトルを勝ち取りたいと思っているんだ。他のドライバーが何回も勝っているから僕も10回チャンピオンになりたい、というわけではない。目の前のレースに勝って、毎年の選手権を勝ち取っていきたい、ただそれだけだよ」
「間違いなくフェラーリは僕にとって最後のチーム。他のチームに行く事にはまったく興味がない。このチームに満足しているんだ。この場所は僕にぴったりだ。他のどのチームよりも僕にとっては楽しいんだ。僕は2年契約を交わしているけど、それで終わりになるとは思っていないよ」
ライコネンは、シーズン中盤、そしてハミルトンに17ポイントの差をつけられていた残り2レースの段階では、勝利は絶望的と見られていた。さまざまな幸運な要素が彼に成功をもたらしたことを認めているが、インテルラゴスで彼が王座を獲得したその状況には何の不自然さもないと主張する。
「僕らが優勝できる様子ではなかっただけに特別に嬉しかった」とライコネンは認める。
「ハミルトンは中国でミスを犯し、その後ブラジルではギヤボックスかどこかに不具合があった。僕らはまったく公明正大に勝利を勝ち取ったんだ。彼はプレッシャーのせいではないと言いたいだろうが、彼だってプレッシャーに打ち勝つのは並大抵のことじゃないよ。だって誰もが相当なプレッシャーの下で走っているんだからね」